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抗酸化物質のサプリメントは健康に良いどころか有害?

(2016年7月) 酸素ラジカルや酸化ストレスの健康への悪影響を指摘し、病気の予防のために抗酸化物質(*)を薦める広告や記事がたくさん出回っている昨今ですが、"British Journal of Pharmacology" に発表されたレビューにおいて、マーストリヒト大学とサセックス大学の研究チームが、「健康のためには抗酸化物質の服用を」という類の主張の根拠となる科学的なデータを調査し、抗酸化物質の服用はごく一部のケース(†)に限るべきであるという結論に達しました。

(*) 原文に具体的な物質名は挙げられていませんが、ビタミンC・ビタミンE・βカロチン・、コエンザイムQ10・グルタチオン・セレンなどが抗酸化物質として有名です。 最近話題の水素水も抗酸化物質の1つでしょう。

(†) 「抗酸化物質の欠乏が不足している」と医療専門家に明確に診断された場合。
酸素ラジカル
ヒトはエネルギーの生産を酸素に依存しています。 しかし酸素には、いわゆる酸素ラジカル(*)を作り出す作用もあります。

(*) 酸素ラジカルは酸化ストレスを引き起こして病気の原因となることがあります。

活性酸素種(ROS)はラジカルと非ラジカルの2種類に分けられますが、ラジカルなタイプのROSが酸素ラジカルに当たります。

酸素ラジカルには、スーパーオキシド、ヒドロキシラジカル、一酸化窒素、ヒドロキシラジカルなどがあります。
酸素ラジカルと病気

体内の酸化ストレスがひどいと、心血管疾患(心臓病や脳卒中)・ガン・糖尿病などの病気になりやすいことが知られています。 そしてそれゆえに、世界中の何百万人もの人たちが抗酸化物質のサプリメントを服用しています。

抗酸化物質のサプリメントに効果なし
しかしながら、ランダム化比較試験(*)で効果が調べられた抗酸化物質の中に、サプリメントの服用が健康にとって有益であるという結果になったものは1つとして存在しません。 1つも無いのです。
(*) 信頼度が高いとされている研究手法。
むしろ有害?

それどころか、抗酸化物質のサプリメントは健康にとって有害である可能性があります。 これは、酸素ラジカルが確かに病気の引き金となるものの、その一方で体内において複数の大切な機能(免疫防御やホルモンの合成など)を果たしてもいるためです。 したがって抗酸化物質は、酸素ラジカルの有害な作用と有益な作用の両方を阻害していると考えられます。

コメント
研究者は次のように述べています:
「酸化ストレスは一部の患者の特定の状態に限って問題になるだけだと思われます。 また、(将来的には)酸化ストレスへの対処も(サプリメントの服用などではなく)、病気を引き起こす酸素分子のみをターゲットとして有益な酸素分子は放置するような薬を用いることになるでしょう」