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抗酸化物質のサプリメントで皮膚ガンの転移が促進される?

(2015年10月) "Science Translational Medicine" 誌に掲載されたヨーテボリ大学(スェーデン)の研究(マウス実験)で、抗酸化物質(*)を(おそらくエサに混ぜて)投与するとメラノーマ(皮膚ガンの一種)の転移率が2倍に増加するという結果になりました。

(*) 具体的な物質名は挙げられていませんが、研究者の発言(後述)に「ビタミンE」と「ベータカロチン」という言葉が出てくることからビタミンCなど抗酸化物質全般を指すのでしょうか。

他の抗酸化物質にはセレン、フェルラ酸イノシトール6リン酸ルテインやゼアキサンチンコエンザイムQ10などがあります。

ガンの原因となるフリーラジカルを抗酸化物質が破壊することから、抗酸化物質にガンを予防する効果があるだろうとこれまで単純に考えられてきましたが、今回の研究チームは 2014年1月にマウス実験およびヒトの細胞を用いた実験で、抗酸化物質によって肺ガンの進行が速まることを明らかにしています。参考記事: ビタミンEは肺ガンを抑制するどころか促進する

今回の結果と併せて研究者は、ガンになるリスクが高い人やガン患者は抗酸化物質を含有するサプリメントを服用しない方が良いとしています。

今回の研究

肺ガンの場合と違って、抗酸化物質は原発性の(よそから転移してきたのではなく最初に発生した)メラノーマ(の進行)には影響しませんでしたが、抗酸化物質によってメラノーマの腫瘍が転移する能力が増強されていました。 メラノーマにおいては当初の腫瘍の進行よりも転移の方が問題となります(皮膚ガンは除去可能であることが普通なので、原発性皮膚ガン自体はそう危険ではない)。

メラノーマ患者から採取したヒト細胞を用いた実験でも、マウス実験と同様の結果となりました。

現時点での考え

これまでの様々な研究から、抗酸化物質に健康な細胞がフリーラジカルによって悪性腫瘍(ガン)になるのを保護する効果があるけれども、悪性腫瘍が発生してしまうと悪性腫瘍まで保護してしまうのだと考えられています。

アドバイス

抗酸化物質を含有するサプリメントを服用すると、検知できないような小さな腫瘍や腫瘍になりかかっている病変の進行を促進してしまう可能性があります。

研究者は次のように述べています:
「ヨーテボリ大学で行われた以前の研究で、ガン患者は抗酸化物質を含有するサプリメントを服用する傾向が特に強いことが示されています。 今回の研究と抗酸化物質に関して行われた複数の大規模臨床試験のデータを併せて考えると、ガンと診断されて間もない患者は抗酸化物質のサプリメントを避けるべきです」
サプリメント以外の抗酸化物質にも要注意
皮膚ガンは経口服用するサプリメントだけでなくローションなどでも抗酸化物質にさらされる恐れがあります。
「化粧水や日焼け用ローションはβカロチンやビタミンEなどの抗酸化物質を成分として含んでいることがありますが、そのように皮膚経由で接触する抗酸化物質も経口服用の抗酸化物質と同様の作用をメラノーマにもたらす可能性があります」