野菜に含まれるアピゲニンに抗ガン作用

ガン細胞を細胞死に導く作用

(2013年5月) ガン細胞がはびこる原因の1つは、ガン細胞が自らに課されたプログラム細胞死を阻害するためですが、"Proceedings of the National Academy of Sciences" に掲載されたオハイオ州立大学の研究によると、野菜に含まれているアピゲニンという化合物(フラボノイド)に、乳ガンによる細胞死の阻害を阻害する効果があるかもしれません。

つまり、アピゲニンによってガン細胞が普通の健康な細胞と同じように一定のサイクルで死滅するようになる可能性があるというわけです。

詳細

今回の研究によると、アピゲニンはガン細胞の遺伝子調節の特定のステップを変更して、プログラム細胞死する通常の細胞となるようにガン細胞を「再教育」します。 このプロセスに関与するタンパク質は複数ありますが、そのなかでも hnRNPA2 といタンパク質が最も深く関与しています。

すべてのガンの原因の80%はRNAスプライシングの異常だと推算されています。 通常の細胞では1種類しか発生しないスプライシングがガン細胞では2種類発生し、これによってガン細胞は細胞死を免れて増殖し続けるのです。

研究グループは今回、乳ガン細胞においてアピゲニンが hnRNPA2 と結びつくことによって、ガン細胞のスプライシングの種類が2種類から1種類に矯正されることを確認しました。 スプライシングが正常(1種類)であれば、細胞はプログラムどおりに死滅する、あるいは抗がん剤が良く効くようになると考えられます。

研究者は次のように述べています:
「健康的な(アピゲニンを多く含む)食事をすることで、体内における正常なスプライシングを促進できます」
アピゲニンを摂るには

アピゲニンを豊富に含む食品はパセリや、セロリ、カモミール茶などですが、その他の多くの野菜や果実にも含まれています。 この研究グループの過去の研究では、アピゲニンに抗炎症作用のあることが示されています。

抗がん剤との併用が特に有効

(2013年8月)"Molecular Nutrition and Food Research" 誌に掲載されたイリノイ大学の研究によると、アピゲニンには腫瘍細胞の発生と成長の鍵となる重要な酵素を阻害する作用があり、抗ガン剤を使用する前にこれらを投与することで、抗ガン剤の効果が増幅されます。

研究者は次のように述べています:
「アピゲニンだけでも悪性のヒト膵臓ガン2種類の細胞系に対して細胞死を誘導します(実験では、アピゲニンにより、腫瘍細胞に自滅を引き起こす連鎖反応が生じた)が、抗ガン剤を使用する前にアピゲニンで24時間処置しておくことで最良の結果が得られました」
別の研究者によると、抗ガン剤とアピゲニンを併用するときにはタイミングに注意する必要があります:

「未だ議論はありますが、私たちの研究では、(アピゲニンなどの)フラボノイドのサプリメントを抗ガン剤と同じ日に投与すると抗ガン剤の効果が消滅してしまうという結果になりました。

これは、フラボノイドが抗酸化物質として作用したためです。 抗ガン剤の作用の仕方には複数ありますが、そのうちの1つは酸化促進活性です。 フラボノイドと抗ガン剤が競合関係にあるために、同時に投与すると効果が相殺されてしまうと考えられます」
研究グループによると、セロリなどの野菜を食べることで得られる量のアピゲニンだけでは、膵臓ガンの治療には不十分ですが、(フラボノイドなどの)抗酸化物質を豊富に含む食品を日常的に食べるのはガンの予防に有効です:
「野菜や果実を大量に食べていれば、生理活性のあるフラボノイドに常に暴露されていることになるので、ガンになるリスクは確実に減ると考えられます」
ホルモン補充療法を受けている女性は注意
2013年11月に発表されたミズーリ大学の研究によると、プロゲスチンによるホルモン補充療法を受けている女性がアピゲニンを経口摂取すると、乳ガンのリスクが増加する恐れがあります。 普段の食事から摂取する程度の量であれば問題ないようですが、サプリメントで大量に摂取する場合には注意が必要です。