食欲のコントロールにアミノ酸が有効である仕組みをやさしく解説

(2014年8月) タフツ大学(米国)で助教授を務める James M. Greenblatt 医学博士が、食欲を抑えるのにアミノ酸が有効である理由を以下のように説明しています。

食欲はペプチド(2つ以上のアミノ酸を含む分子)、ホルモン、および神経伝達物質という3種類の分子構造の影響を強く受けます。 これらの調節分子のバランスが正常であれば、栄養が足りているのに空腹感を覚えるということはありません。

しかし、このバランスを維持するには、体内にアミノ酸が十分に存在している必要があります。 アミノ酸はタンパク質を構成する単純な構造のかたまりで、5万種類以上のペプチドや、ホルモン、神経伝達物質を形成する材料となります。
アミノ酸
アミノ酸には20種類があり、体内で様々な役割を果たしています。 アミノ酸は「必須アミノ酸」と「非必須(可欠)アミノ酸」の2種類に大別できます。 人体は非必須アミノ酸(11種類)を肝臓で作りだすことが出来ますが、必須アミノ酸(9種類)は作れないのでタンパク質を食べることによって外部から摂り入れる必要があります。
各種のアミノ酸は、主にペプチドや、神経伝達物質、ホルモンを調節することによって食欲を制御します。

  • 例1: 鶏肉や一部の果物・野菜に含まれているトリプトファンというアミノ酸は、セロトニンという神経伝達物質の前駆物質(材料)です。 セロトニンには色々な作用がありますが、そのうちの1つに満腹感をもたらすという作用もあります。

  • 例2: 肉や、魚、卵、チーズ、牛乳などに含まれているフェニルアラニンというアミノ酸は、ドーパミンという神経伝達物質の体内量に影響します(L-フェニルアラニン ⇒ L-チロシン ⇒ L-ドーパ ⇒ ドーパミン)。
その他のアミノ酸やペプチドは、ブドウ糖の代謝やタンパク質の合成などの役割を通じて直接的に食欲に影響します。

ペプチドを生産するのに十分なだけのアミノ酸が食事により供給されなければ、ホルモンと神経伝達物質が弱まって、すぐに食欲の暴走が始まります。


アミノ酸の欠乏症は驚くほどに一般的で、多くの人が自覚も無いままにアミノ酸不足に苦しんでいます。 アミノ酸欠乏症の原因にはいくつかあって、タンパク質の不足(菜食主義の人に多い)、タンパク質を消化する能力の不足、制酸剤(胃薬)の使用、ストレスなどがこれに当たります。 これらを原因とするアミノ酸欠乏症には、消化酵素やアミノ酸のサプリメントが有効です。

アミノ酸を適切に摂取することが、食欲暴走の原因となっている生化学的なバランスの崩れを修正するのに有効です。 (食欲のコントロールに)アミノ酸を用いるのは目新しいことではありません。 食欲コントロールにアミノ酸を用いるというのは理に適(かな)っている上に、おカネもあまりかかりません。