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アルギニンに血糖値を下げる効果

(2013年9月) "Endocrinology" 誌に掲載されたコペンハーゲン大学などの研究(マウス実験)によると、アルギニンというアミノ酸の一種にブドウ糖代謝能(体内でブドウ糖を代謝する能力)を著しく改善する作用があります。 アルギニンは、サーモン・卵・木の実など様々な食品に含まれています。

研究グループによると、アルギニンにはインスリンの分泌を促進する効果があり、その効果はいくつかの既存の薬に匹敵するほどです。

研究の概要

今回の実験では、普通体重のマウス(インスリン感受性がある)のグループと肥満のマウス(インスリン感受性が無い)のグループに対して耐糖試験(血中からブドウ糖を取り出す能力を測定する試験)を行い、両方のグループでアルギニンによるブドウ糖代謝能が相当に改善することを確認しました(つまり、アルギニンが、インスリン感受性が低い糖尿病にも有効だということでしょう)。

アルギニンがインスリンの分泌において重要であることは以前から知られていましたが、今回の研究では、アルギニンによるインスリンの分泌が間接的であることが示されました。
つまり、「アルギニン → GLP-1 の分泌 → インスリンの分泌」という具合に、「GLP-1 の分泌」というステップの関与していることが新たに明らかになったというわけです。
アルギニンを多く含む食品

食品成分ランキングによると、アルギニンは、ゼラチン(100gあたり7.9g)と分離大豆たんぱく(6.7g/100g)に飛び抜けて大量に含まれています。 食品成分ランキングには豚由来のゼラチンとありますが、牛でも同じでしょう。

他にめぼしいのは、ガゼイン(3.3g/100g)や落花生(3.2g/100g)、芝エビ(1.7g/100g)、豚の赤肉(1.5g/100g)でしょうか。 大豆にも含まれていますが、乾燥品の時点で2.7g/100gなので、水分をたっぷり吸った調理後の状態では大した数字にはならないでしょう。 冒頭で出てきた卵に含まれるアルギニンの量は、0.78g/100gでした。

研究者のコメント
研究者は次のように述べています:

「太ったマウスと普通のマウスのいずれにおいても、アルギニンによってブドウ糖代謝能が40%ほども増加していました」

「さらに、アルギニンの投与によって、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)という腸から分泌されるホルモンの量も増加していました。 GLP-1 は食欲の調節とブドウ糖の代謝において重要な役割を果たすホルモンで、2型糖尿病の薬にも使われています」

「無論、アルギニンを豊富に含むアーモンドやへーゼルナッツを大量に食べるだけで糖尿病が治るということはありませんが、アルギニンを意識した食事療法が糖尿病に有効である可能性は十分に存在します」
別の研究者は次のように述べています:

「GLP-1 の受容体を持たない遺伝子改造マウスでは、(GLP-1 が存在していても、その効果を得られないので)アルギニンの効果がほとんど無く、ブドウ糖の代謝やインスリンの分泌に改善が見られませんでした」

「これによって、アルギニンが GLP-1 を介してインスリンに作用するという私たちの仮説が正しいことが確認できました」
ただし、今回の発見はマウス実験によるものであるため、ヒトについても同じことが言えるかどうかを今後の研究で確認する必要があります。