アメリカで米に含まれるヒ素が問題に

(2012年9月) Consumer Reports という米国の消費者団体が、アメリカ産の米およびアメリカ産の米を使った製品(幼児向けのシリアル食品やライスパスタなど)に含まれる無機ヒ素の量について警告を発しています。 無機ヒ素は肝臓・膀胱・肺のガンの一因となります。

この調査によると、アメリカ産の米に含まれる無機ヒ素の量は直ちに危険な水準ではありませんが、米や米製品を一日に一度食べることで体内のヒ素の量が少なくとも44%増えます。

ヒ素の含有量は白米よりも玄米で多く、産地ではアーカンソー州・ルイジアナ州・ミズーリ州・テキサス州を産地とする米で比較的多くのヒ素が検出されました。

アメリカ産の米または米製品のうち、40%がニュージャージー州が飲料水に関して定めるヒ素許容上限値を超えていましたが、これらについてもEPAの基準内には収まっていました。
ヒ素の許容上限値
米国で現在定められているヒ素の許容上限値としては、環境保護局(EPA)が飲料水に関して定めたもの(0.001mg/L)とニュージャージー州が定めたものがあり、後者の方が厳しい(EPAの基準値の半分)基準です。 日本でも同様で飲料水に関しては許容上限値(0.01mg/L)は定められていますが、米(コメ)に含まれるヒ素に対する基準は無いようです。
どの程度危険なのか?

米国食品医薬局(FDA)でも米と米製品に含まれるヒ素の量を調査中で、現在までの調査結果は Consumer Reports による調査と一致していますが、これまでの調査結果の範囲内においては消費者にヒ素について警告を発するほどではないという方針です。 また毒物の専門家も、この程度のヒ素の量では健康上の問題は無いとコメントしています。

これに対して、Consumer Reports では、アメリカ産のお米の摂取量を、一週間あたり乾燥重量で1/4カップ(60cc程度)を二回までに抑えることを勧めています。 また、幼児向けのライス・シリアルも1日1杯までにすることを推奨しています。

日本の米のヒ素含有量は?

水田土壌及び水稲における化学形態別ヒ素の動態に関する最近の研究動向」には、「平均ヒ素濃度を各国で比較すると <中略> 日本の平均値は 0.16mg/kg であるので、アメリカと同程度か若干低めである」とあります。

なぜ米でヒ素が問題となるのか?

How Does Arsenic Get into Rice?」という記事によると、米に含まれるヒ素は農薬や肥料から来ていると思われます。

この記事において農薬は英語で "lead-arsenate" となっていますが、これはヒ酸水素鉛という物質ではないでしょうか。 ヒ酸水素鉛は日本では1978年まで合法で、その後も非合法に使われることがありました。 米国の環境保護局によれば無機ヒ素は45年間残留することが示されているので、1978年に使われた農薬はまだ土壌に存在することになります。

一方、肥料にヒ素が含まれているのは、その肥料というのが鶏糞で、鶏のエサにヒ素が含まれていることがあるからだそうです。

アーカンソー州・ルイジアナ州・ミズーリ州・テキサス州でヒ素が多かったのは、これらの地域では綿の栽培が盛んだったために上述の農薬が多量に使われたためだと考えられます。

しかし、土壌に含まれるヒ素の影響は、米以外の作物にもあるはずです。 それなのに、米でだけ問題視されるほどの量のヒ素が検出される理由を「How Does Arsenic Get into Rice?」では米が水田で栽培されるからではないかとしています。 ヒ素は水溶性なので、水田で育てる作物はヒ素を多く吸収してしまう可能性があります。