活性酸素を水と酸素に換える薬

(2013年7月) Universitat Basel(スイス)の研究グループが、2種類の酵素を利用して酸素ラジカル(フリーラジカルの活性酸素)を水と酸素に分離する人工の小器官(ミトコンドリアなど、細胞内に存在する小さな構造物)を開発しました。

酸素ラジカルは、代謝の副産物あるいは紫外線やスモッグなどの影響により、体内で生産されます。 生体内で酸素ラジカルなどのフリーラジカルが増加して、抗酸化防御メカニズムの処理能力を超えると、酸化ストレスが生じます。 酸化ストレスは、ガンや関節炎など多数の疾患に関与しています。

酸素ラジカルは通常は、体内で生産される抗酸化物質により抑制されています。 この抑制プロセスでは、ペロキソームという小器官が重要な役割を果たし、酸素ラジカルの濃度を調整しています。

研究グループは、このペロキソームと同様の作用をする人工ペロキソームを開発したというわけなのです。 この人工ペロキソームは、2種類の酵素酵素が中に入った高分子ナノカプセルで出来ており、これらの酵素の働きによって、酸素ラジカルを水と酸素に変換します。

細胞内での、人工ペロキソームの働きを検証するため、研究グループは人工ペロキソームの膜にチャネルタンパク質を加えて、基質および生産物のための出入り口を設けました。 その結果、(1つの)細胞に(複数の)人工ペロキソームが組み込まれ、人体に本来備わっているペロキソームによる解毒プロセス(酸素ラジカルを水と酸素に変換する)を非常に効率的に補助しました。