抗凝固剤を使えない血栓患者にアスピリンが有効

(2014年9月) "Circulation" 誌に掲載されたシドニー大学の研究によると、低用量のアスピリンを常用することによって静脈血栓のリスクを低下させることが出来ます。 今回の結果から、ワルファリンなどの抗凝固剤を長期間使用できない患者にアスピリンを抗凝固剤の代わりに使える可能性があります。

深部静脈血栓(脚の静脈にできる血栓)や塞栓症(血栓により血流が遮断される)の患者の大部分は、ワルファリンなどの抗凝固剤を半年以上は使い続けます。 血栓が溶けた後にも、再発を防ぐために抗凝固剤の服用を続ける必要があるためです。

しかしながら、抗凝固剤は高価であるうえに、頻繁に血液検査を受けて服用量を調節する必要があります。 さらに、患者の体質によっては抗凝固剤による副作用(出血)のリスクも増加します。

研究者は次のように述べています:

「アスピリンの抗凝固剤としての効果は、ワルファリンやアンチトロンビンほどではありませんが、費用負担や出血リスクなどの理由で抗凝固剤を使えない人にとっては、アスピリンが有力な選択肢となるでしょう」

「今回の研究では、初めて静脈血栓や塞栓症になった後にアスピリンを毎日飲むことで、その後に(血栓の)イベントが再び起こるリスクを下げられるという結果になりました。 しかも、アスピリンによる出血リスクは抗凝固剤よりも少ないのです」


この研究では、アスピリンを毎日100mg服用したグループを、プラシーボを服用したグループと比較しました。 その結果、次の疾患のリスクがそれぞれ1/3に低下していました:

  • 血栓塞栓症(血管の他の場所からはがれた血栓により血管が詰まるという病気)
  • 深部静脈血栓(深部静脈に生じる血栓。脚の深部静脈に出来ることが多い。略称 "DVT")
  • 肺塞栓症(肺に血液を供給する動脈に影響する血栓)
  • 心筋梗塞(心臓発作)、脳卒中、心血管疾患を原因とする死亡

「長期間にわたる抗凝固剤の治療が高くつく多くの国々においては、アスピリンが理想的な治療薬となるでしょう。 アスピリン療法の(抗凝固剤と比べたときの)最大のメリットは、コストの安さです。 アスピリンの安さや、アスピリンを服用していなければ起こっていたはずの血栓再発を治療するコストを考えると、血栓予防にアスピリンを用いることによって世界全体では数百万ドルも医療費を節約できると考えられます」