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アスピリン常用でリスクが下がるガンと下がらないガン

(2015年4月) "AACR Annual Meeting 2015" において発表されたハーバード大学の研究によると、アスピリンの常用が予防に有効なのは、様々な種類のガンの中でも特に大腸ガンです。

研究の方法

この研究では、女性 82,600人および男性 47,651人のデータを用いてアスピリン使用とガンの発生率の関係を調べました。

結果

32年間の追跡期間のうちに発生したガンの件数は 27,985件でした。 アスピリンの錠剤を毎週2~3錠服用していたグループでは、(アスピリンを服用していなかったグループに比べて)種々のガンを発症するリスクが5%低下していました。

ガンの種類別では、大腸(結直腸)ガンが25%のリスク低下、胃食道ガンが14%のリスク低下で、アスピリンによってガン全体の発症リスクが低下していたのも主に胃腸のガンのリスクが低下していたためです。

今回の研究では、胃腸以外のガン、特に乳ガン・肺ガン・前立腺ガンについてはアスピリンによるリスク低下は認められませんでした。

アスピリンによるガンのリスク低下は、アスピリンの服用が長期間かつ定期的である場合、およびアスピリンの用量が多い場合に顕著であるようでした。

また、アスピリンによるガンのリスク低下が統計学的に有意であったのはアスピリンの常用を16年以上継続した場合に限られ、アスピリンの常用を中止すると4年も経たないうちにリスク低下の有意性が失われていました。

コメント
研究者は次のように述べています:

「アスピリンは心臓発作や脳卒中の予防に有効ですが、近年の研究によると、この予防効果には個人差があって心臓発作や脳卒中のリスクがそもそも低い人では予防効果があまり発揮されない可能性があります」参考記事: 遺伝的体質によってはアスピリン常用による心血管疾患予防の効果が無いばかりか逆効果に

「しかし今回の結果からすると、アスピリンによる心臓発作・脳卒中の予防効果が期待できない多くの人たちにとっても、アスピリンの常用はガンの予防において有益かもしれません」
注意点

この研究者(Andrew T. Chan 医学博士)を含む研究チームが 2014年に発表した研究では、アスピリンによる結腸ガン予防効果が遺伝的な要因に左右されることが示されています。 参考記事: アスピリンで結腸ガンを予防できるか否かは遺伝子で決まる

したがって、ガン予防を目的とする場合にもアスピリンの常用を万人に対して一様に推奨できるわけではありません。 また、アスピリンには胃腸からの出血などの副作用のリスクがあるので、アスピリンの常用を考えている人は常用を開始する前に医師と相談する必要があります。

Chan 博士は過去に、バイエル・ヘルスケア社・ファイザー社・POZEN社などアスピリンも扱っている製薬会社の顧問を務めていました。