アスピリンで結腸ガンを予防できるか否かは遺伝子で決まる

(2014年4月) アスピリンの常用が結腸ガンの発症リスク低減や生存率向上に有効であることが過去の複数の研究で示されていますが、"Science Translational Medicine" 誌に掲載された米国の研究によると、アスピリン常用で結腸ガンの発症リスクが減少するのが特定の遺伝子を持つ人だけであることが明らかになりました。

研究の概要

13万人分(結腸ガン患者270人)のデータを分析したところ、結腸に "15-PGDH(15-ヒドロキシプロスタグランジン・デヒドロゲナーゼ)RNA" と呼ばれる酵素が大量に存在する人でのみ、アスピリンの常用によって結直腸ガンの発症リスクが1/2~1/3に低下していました。 15-PGDH の量が少ない人では、アスピリン常用の効果は見られませんでした(10%の減少、あるいはリスクの増加)。

解説
プロスタグランジンという分子が結腸ガンの発症を促進しますが、アスピリンにはプロスタグランジンの生成を抑止する作用があります。 一方 15-PGDH には生成されたプロスタグランジンを壊す作用があります。 今回の研究では、結腸ガンの予防には 15-PGDH とアスピリンの両方が必要であることが示されました。
プロスタグランジン
プロスタグランジンは結腸細胞の成長と炎症を促進しますが、これらはいずれもガンのリスクが増加する原因となります。

米国人の場合、半数ほどの人で 15-PGDH が大量に生産されると思われます。 15-PGDH の体内量は、血液検査でも遺伝子検査でも明確にはわからないため、結腸内視鏡検査で測定する必要があります。(今回の研究でも、結腸の健康な部分の組織サンプルを分析しました。)

15-PGDH は以前に行われたマウス実験やヒトを対象とする試験でも、セレコキシブの結腸腫瘍予防効果を強める作用を有することが明らかにされています。 セレコキシブはアスピリンと同じ NSAID ですが、アスピリンと違って副作用として心血管疾患のリスクが増加します。(ただし、アスピリンにも胃腸の出血などの副作用があります)