アスピリンの常用が肺ガンと結直腸ガンの転移などを低減

"British Journal of Cancer" に掲載されたスェーデンの研究によると、低用量のアスピリンを継続的に服用している結腸ガンと肺ガンの患者では、ガンの進行が軽度である傾向にあります。 研究者によると、アスピリンはガンの早期および後期のステージの両方において効果を発揮します。

この研究では、結直腸、肺、前立腺、乳房のガンの患者8万人のデータを分析しました。 結直腸、肺、または前立腺のガン患者では、25%がガンと診断される前に低用量(75mg程度)のアスピリンを毎日服用していました。 一方、乳ガンの患者で、ガンと診断される前にアスピリンを服用していたのは14%でした。

結腸ガン、肺ガン、乳ガンの場合、アスピリンを常用している人では、体の他の部分にガンが転移しているケースが(アスピリンを常用していない人に比べて)20~40%減少していました。 例えば、結腸ガンの場合、アスピリン常用者ではガンの転移が19%に見られたのに対して、非常用者では25%に見られました。

さらに、結腸ガンと肺ガンについては、アスピリン常用者のほうがおしなべて腫瘍が小さく、進行の程度もマシでした。 ただし、前立腺ガンと乳ガンについては、アスピリンのこのような効果は見られませんでした。

研究者は次のように述べています:

「(アスピリンの常用がガンに対して効果がある)仕組みはよくわかっていませんが、アスピリンの抗炎症作用と血液希釈作用によりガンのリスクが減少するのだとも考えられています。

アスピリンが肺ガンと結直腸ガンに効果があるのに、前立腺ガンと乳ガンには効果が無い理由も不明です。 前立腺ガンと乳ガンはホルモンが関与する度合いが大きいのが関係しているのかもしれませんが...」



今回の研究でも、年齢や、性別、社会経済学的な状態など、ガンのリスクに影響しそうな要因は考慮されましたが、今回のような(ランダム化対照試験ではない)集団ベースの研究では、この種の要因すべてを排除するのは容易ではありません。

「(アスピリンとガンを抑制する作用との因果関係が明らかにされたわけではないので、アスピリンを常用している人でガンがましだったのは偶然でしかなく)アスピリンの常用者と非常用者との間に何らかの生活習慣の違いがあり、それがガンのリスクの違いとなって表れている可能性もあります。

(このようにアスピリンのガンに対する効果が現時点では明確でないうえに)アスピリンには胃腸の出血などの副作用もあるので、(ガンの低減を目的として)全ての人にアスピリンを処方するのは現実的ではありません。 ガンになるリスクが高い人だけがアスピリンを服用するようになると良いのですが、そのような方針が(個人でなく)社会的なレベルで有益かどうかを判断するには、今後の研究が必要です」