アスピリンが大腸ガン予防に効果を発揮するメカニズム

(2014年11月) "Proceedings of the National Academy of Sciences" に掲載されたピッツバーグ大学の研究で、アスピリンなどの非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)が大腸ガンの予防に効果を発揮するメカニズムが解明されています。

この研究によると NSAID は、腸の幹細胞のうち遺伝子変異により機能不全を起こしているもののみをターゲットにして細胞死経路(cell suicide pathway)を誘導します。

これまでに複数の動物実験や臨床試験でアスピリンやイブプロフェンなどの NSAID に腸のポリープ(結腸ガンに変化する恐れがある)のリスクを低下させる効果のあることが示されてきましたが、そのメカニズムは不明でした。

研究グループは、複数の動物実験を行ったり、NSAID を服用している患者と服用していない患者から採取した腫瘍サンプルを比較したりして、NSAID が「細胞死受容体(デスレセプター)経路」と呼ばれる経路を活性化させていることを明らかにしました。

細胞死受容体経路は、腸の幹細胞のうち APC 遺伝子に変異が生じて機能不全を起こしているものにおいて選択的に(APC遺伝子の変異が生じていない健康な細胞には影響を及ぼすことなく)細胞自滅プログラムを引き起こします。

NSAID は、前ガン性のポリープや腫瘍となり得る細胞を早い段階で自滅させることによって、大腸ガン予防効果を発揮していたのです。