匂いに対する心理的イメージが喘息の症状に影響する

(2014年7月) "Journal of Psychosomatic Research"(オンライン版)に掲載された Monell Center の研究によると、喘息患者の心理的イメージが原因で気道の炎症が増加する可能性があります。 何らかの匂いが有害であるという思い込みに体が反応することがあるというのです。

喘息患者では、何かが引き金となって気道の炎症と収縮が悪化し、呼吸が困難になります。 この「何か」は、花粉・ホコリ・化学物質・アレルゲン(アレルギー原因物質)など実に様々です。 強い感情やストレスなどの精神的な要因により喘息の症状が引き起こされることもあります。

良い香りや芳香であっても喘息の引き金となることが一般的に認識されており、このため喘息患者は匂いに対して神経質です。

研究の方法
この研究では、中等症の喘息患者17人を2つのグループに分けて、フェニルエチルアルコール(PEA)という物質の匂いを嗅いでもらいました。 PEA はバラの香りの成分であり、生理的な刺激をもたらさない純粋な匂い物質です。

グループの一方(8人)には 「この香りにはね、喘息治療の効果があるんだよ」 と伝え、もう一方(9人)には 「この匂いにより呼吸器に軽度の異常が生じる可能性があります」 と伝えました。

そして、両グループに PEA の匂いを嗅いで、匂いの強さ、刺激性、煩(わずら)わしさなどを評価してもらいました。 肺機能と気道の炎症の程度は、①PEA の匂いを嗅ぐ前、②嗅いだ直後、③嗅いでから2時間後、および④嗅いでから24時間後に計測しました。

研究の結果
このような試験の結果、匂いを嗅いだときの心理的および生理的な反応は、匂いに対するイメージ(特に喘息にとって良いか悪いか)に影響されていることが明らかになりました。

「PEA の匂いが有害となりうる」と伝えられたグループは、もう一方のグループに比べて、PEA の匂いを刺激的で煩わしいと評価する傾向にありました(心理的な反応)。 そして、このグループでは、PEA の匂いを嗅いだ直後から気道の炎症が増加し、24時間後に至るまで増加したままでした(生理的な反応)

研究者は次のように述べています:

「ネガティブな心理的イメージにより速やかに、気道の炎症の状態が変化していました。 驚かされたのは、この反応(心理的イメージによる炎症への影響)が24時間も続いた点です。 炎症が増加しているうちは、喘息を引き起こす他の要因に対して過敏な状態が続いていると思われます」


「PEA に喘息治療の効果がある」と伝えられたグループでは、香水などの匂いに対して神経質だと回答していた人たちを含めて、炎症は増加していませんでした。

今回の結果から、香料が喘息の症状にもたらす影響の中には心理的な部分もあると考えられます。