喘息の人は深い呼吸よりも浅い呼吸が良い

(2014年11月) "Chest" 誌に掲載された Southern Methodist University(米国)の研究によると、喘息患者は深く呼吸するのを我慢して浅い呼吸にすることによって、症状を減らして肺機能の健康を改善できる可能性があります。

研究者によると、喘息患者は発作が起こったときに窒息の恐怖から深く息を吸い込んでしまうだけでなく、発作が起こっていないときにも必要以上に呼吸をする傾向にあります。 しかし、深い呼吸こそがやってはいけないことです。

研究者は次のように述べています:
「鍵となるのは過呼吸です。 過呼吸で速いペースで深い呼吸を繰り返すことによって、血中の二酸化炭素量が落ちてしまい、眩暈(めまい)や息切れが生じます」

「過呼吸状態のときには非常に奇妙なことが起こります。 空気は十分に吸い込めているのに、空気を吸い込めていないときのような息切れ感や、窒息感、酸素への渇望が生じるのです」
そして、傍らで見守っている人も「深く息を吸い込んで」などとアドバイスしてしまいます。 しかし実際にやるべきなのは浅い呼吸です。
「(喘息の発作が起こると)酸素はもう十分に足りているのに意識的あるいは無意識的に深い呼吸をし始めてしまい、それによって症状が悪化します」
研究の内容
この研究では、喘息患者を2つのグループに分けて、バイオフィードバック(*)の有無が、浅い呼吸の練習にもたらす効果を調べました。 浅い呼吸では、二酸化炭素の量が増加します。
(*) カプノメーターという呼気中の二酸化炭素量を計測する携帯サイズの器具を用いて、呼吸トレーニング中の2酸化炭素排出量を計測した。 カプノメーターは市販されておらず、医療機関を通じてのみ購入できます。
一方のグループ(120人)にはバイオフィードバックを用いて呼吸による酸素摂取量が十分であることを確認しつつ浅く短い呼吸を4週間かけて練習してもらい、もう一方のグループにはバイオフィードバックを用いずに浅く短い呼吸を練習してもらいました。

バイオフィードバックを用いて浅い呼吸を練習したグループでは、喘息症状の21の臨床指標のうちの80%超において有意な改善が見られました。 喘息の症状や、肺機能、気道の生理機能・病状・過敏状態が改善して、気管支拡張薬(吸入薬)の使用量も減ったのです。 これらの改善の大部分は、半年後にも維持されていました。

バイオフィードバックを用いなかったグループでも浅い呼吸による症状軽減の効果は出ていましたが、半年後には元の水準に戻っていました。 また、努力性オシレーション法による計測で、バイオフィードバックを用いたグループでは気道が広がって(楽に呼吸できるようになって)いましたが、バイオフィードバックを用いなかったグループでは気道がむしろ少し狭まっていました。

バイオフィードバックを用いて浅い呼吸を練習するという方法(Capnometry-Assisted Breathing Training、CART)は、今回の研究者が開発したもので、過去の研究では CART がパニックや不安感による過呼吸の症状軽減にも有効であることが示されています。

カプノメーターの必要性
研究者によると、浅い呼吸の練習を始めた当初は深く呼吸をしたいと思うものですが、患者の中でも(血中の?)二酸化炭素量が少ない人は特に、ゆっくりと浅い呼吸によって二酸化炭素の量を増やすと、増加量が僅かであっても極度の空気飢餓を感じる傾向にあります。
「そのような患者が浅い呼吸の練習を続けるには、酸素不足ではなく2酸化炭素不足によって症状が起こっているのだと確認するして安心する必要があります」