インフルエンザに感染しても症状が出ないのが普通

(2014年3月) "The Lancet Respiratory Medicine" 誌に掲載された英国の研究によると、インフルエンザに感染しても、そのことに気付いていない人が大部分です。

今回の研究で、季節性インフルエンザと 2009年に流行した新型インフルエンザ(A型H1N1亜型)の両方に感染していたのは英国の人口の20%ほどだったのに、症状が現れたのはそのうちの23%だけ、そして医師の診察を受ける程度に重症だったのは17%だけと推算されたのです。

研究者は次のように述べています:

「報告されているインフルエンザの症例数は巨大な氷山の一角にしか過ぎません。 病院で診察を受けた患者の数だけを記録する既存のシステムでは本当の患者数は把握できていないのです。

インフルエンザにかかっても(自覚症状が無いか、有っても軽度なので)病院に行かない人が大部分です。 そして、病院で診察を受けてもインフルエンザであると診断されないことも少なくありません。

インフルエンザ感染者数が実際よりも少なく記録されていると、インフルエンザ感染者の入院率や死亡率を過大評価してしまうことになります」
研究の方法

この研究("Flu Watch")では2006~2011年にかけて、インフルエンザのシーズン6回分にまたがる5つのコホート(インフルエンザの予防接種を受けていない)を追跡調査して、①インフルエンザ感染者数、②インフルエンザ感染者のうち症状が出た率、および③インフルエンザ感染者のうち病院に行くほどの症状が出た率を推算しました。

具体的には、6回のインフルエンザ・シーズンそれぞれの始まりと終わりに、参加者(コホートに含まれる人たち)の血液サンプルを検査し、参加者の各世帯に毎週、咳や、寒気、喉の痛み、あるいは「インフルエンザのような症状」の有無について尋ねました。

そして、いずれかの症状があると回答した人には、症状が出てから2日目に鼻の粘膜をスワブ(綿棒)でこすったもの(インフルエンザに感染していればスワブからウイルスが検出される)を提出してもらいました。 スワブの検査には RT-PCR(アルタイムポリメラーゼ連鎖反応)を用いました。

結果

このような調査の結果、コホートのうちインフルエンザに感染していた人の割合は、6回のインフルエンザ・シーズンの平均では18%、そして 2009年の新型インフルエンザの流行前には19%および流行中には18%だったのですが、これらの感染の77%で症状が出ていなかったのです。

RT-PCR でインフルエンザ感染が確認された人のうち、病院に言ったのは17%ほどでしかありませんでした。 さらに、季節性インフルエンザよりも 2009年の新型インフルエンザのほうが症状が相当に軽いこともわかりました。 (感染者のうち病院に行った人が少なかったのでしょう)

今回の研究から、インフルエンザ患者数に関する(従来の)調査ではインフルエンザ感染者数が非常に少なく推算されていたことがわかりました。 今回対象となった6回のインフルエンザ・シーズンについて言えば、英国の "Royal College of General Practitioners Sentinel Influenza-Like Illness Surveillance Scheme"(インフルエンザの感染者数を調べる代表的な調査なのでしょう) による感染率の22倍だったのです。

症状が出ていないインフルエンザの感染力については不明です。