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動脈硬化の予防に適した果物はバナナ? オレンジ? それとも...

(2016年3月) "Nutrients" 誌に掲載された西オーストラリア大学などの研究によると、アテローム動脈硬化の予防を目当てに食べる果物は梨でもバナナでもオレンジでもなくリンゴが良いかもしれません。出典: Fruit Intake and Abdominal Aortic Calcification in Elderly Women: A Prospective Cohort Study

果物を食べる量が多いと心血管疾患(心臓病や脳卒中)になりにくく、心血管疾患により死亡することも少ないことが複数の研究により一貫して示されていますが、果物の摂取量と動脈硬化の関係を調べた研究はあまり行われていませんでした。

アテローム性動脈硬化とは

一般的に「動脈硬化」と言えばアテローム性動脈硬化のことです。 アテローム性動脈硬化では、血管壁にカルシウムと脂肪が蓄積して動脈の血管壁が厚みを増します。 アテローム性動脈硬化は心臓病や脳卒中のリスクが増加する原因となります。

研究の方法
70才超の女性 1,052人を対象に果物(*)の摂取量に関するアンケート調査とX線を用いた腹部大動脈石灰化(AAC)(†)の程度の検査を行いました。

(*) リンゴ、梨、オレンジなどの柑橘類、バナナ。

(†) AACはアテローム性動脈硬化の指標として用いられるようになりつつあります。 AACには、①冠動脈(心臓につながる動脈)の石灰化の程度や、②人体各所の動脈のアテローム性動脈硬化の程度、③心血管疾患による死亡のリスクが反映されます。
結果

リンゴについては摂取量が多いとAACのスコアが低いという関係が見られましたが、梨・オレンジ・バナナについては摂取量とAACスコアとの間に統計学的に有意な関係が見られませんでした。

リンゴを1日に食べる量が50g(リンゴ1個で100~150gほど)増えるごとに、AACが顕著となるリスクが26%下がるという計算になります。

解説
理由は不明

研究チームは、リンゴでのみAACスコアが下がっていた理由を述べていません。

リンゴの健康効果

リンゴが心臓・血管の健康にもたらす効果は、リンゴに含まれるフラボノイド(特にケルセチン)・水溶性食物繊維(ペクチン)・ビタミンC・カリウム・マグネシウムなどの成分の総合的な作用によるもので、その作用には腸内細菌も関与していると思われます。

リンゴの成分の健康効果を調べた過去の研究では次のような結果になっています:
  • 食物繊維の摂取量が多い人は心血管疾患のリスクが低い。
  • ペクチン摂取量が多い人はLDLコレステロール値が低い。
  • ケルセチンの摂取により高血圧が改善する。参考記事: フラボノイドに高血圧予防の効果
  • ケルセチンが動脈硬化の改善に有益である。
  • ケルセチン摂取量が多い人は心血管疾患による死亡リスクが低い。
研究のスポンサー
リンゴの業界団体が喜びそうな結果でしたが、この研究にリンゴ業界団体は資金を提供していないようです。