アトピー性皮膚炎の患者で骨粗鬆症と骨折のリスクが増加

(2015年1月) "Journal of Allergy and Clinical Immunology" に掲載されたノースウェスタン大学(米国)の研究で、アトピー性皮膚炎の患者で骨粗鬆症と骨折のリスクが増加するという結果になりました。
骨粗鬆症
骨粗鬆症とは、骨形成速度よりも骨吸収速度が高いことにより、骨に多数の小さな穴ができる症状のことです。 骨粗鬆症の人は日常的な衝撃でも骨が折れてしまうため、入院や寝たきりのリスクが増加します。
研究の方法

この研究では、National Health and Nutrition Examination Survey(2005~2006年) という全米から収集されたデータベースの中から5千人近くのデータを抽出して分析しました。 分析対象となった項目は、アトピー性皮膚炎、骨粗鬆症、および骨折(股関節・脊椎・手首など)と診断されていたか否か、および骨密度検査の結果などでした。

結果
主な結果は次の通りです:
  • 5千人ほどのうち、アトピー性皮膚炎だったのは7%、骨折の病歴があったのは30%ほどだった。
  • アトピー性皮膚炎が無いグループでは32%に骨折歴があったのに対して、アトピー性皮膚炎が有るグループでは41%だった。 股関節または脊椎の骨折に限ると、この比率は約4%に対して6%超だった。
  • アトピー性皮膚炎が有るグループの方が(無いグループよりも)、大腿骨、転子(大腿骨の上部に位置し股関節との接続部にあたる)、および脊椎の骨密度が低かった。
  • 大腿骨の骨密度が骨粗鬆症に相当する状態であった率は、アトピー性皮膚炎が無いグループで2.6%だったのに対して、アトピー性皮膚炎が有るグループでは5%だった。 ただし、大部分は骨粗鬆症と診断されていなかった(骨粗鬆症と診断されていなくても骨粗鬆症である人が多かった)。
考えられる理由

研究チームによると、アトピー性皮膚炎の人で骨折が多かったのは、アトピー性皮膚炎の痒みに起因する注意力散漫、あるいはアトピー性皮膚炎が関与するメンタルヘルスの問題や睡眠不足のためかもしれません。

アトピー性皮膚炎の人に骨粗鬆症が多い理由としては、アトピーによる慢性的な炎症が骨密度に直接的な悪影響を与えている可能性が考えられます。 運動不足もアトピー患者の骨密度が低い理由かもしれません。 アトピーの人は汗をかく(アトピーが悪化する原因となる)のを嫌がるために運動不足になりがちです。

過去の研究で、アトピー性皮膚炎の治療に用いられる全身性の(注射や内服で用いる)コルチコステロイド薬により骨密度が低下することが示されていますが、今回のデータベースには全身性のステロイド薬を積極的に使用している人はほとんど含まれていませんでした。

対策

骨粗鬆症や骨折のリスクを下げるには、禁煙、節酒、筋力トレーニング、ビタミンD やカルシウムのサプリメントなどが有効です。 全身性のステロイド薬を使っている場合には、患部に塗るタイプのステロイド薬に切り替えることも検討しましょう。

研究者は次のように述べています:
「アトピー性皮膚炎患者の骨の健康に関するガイドラインは現時点では存在しませんが、中~重度のアトピー性皮膚炎の患者、特に全身性のステロイド薬を服用していたり、座りがちな生活を送っている人は、骨密度の検査を受けてみると良いでしょう」