オキシトシンは不足している場合にのみ自閉症児の社交性改善に有効かも

(2014年8月) "Proceedings of the National Academy of Sciences" 誌に掲載されたスタンフォード大学などの研究によると、オキシトシン(ホルモンの一種で社交性を増大させる効果がある)が自閉症の症状緩和に有効かもしれません。 ただし、オキシトシン不足が自閉症の原因だというわけではないようです。

オキシトシンの血中濃度

この研究では、①自閉症児、②兄弟に自閉症児がいる子供、および③自閉症児ではなく兄弟にも自閉症児がいない子供という3つのグループのオキシトシン血中濃度を検査しました。 その結果、①~③のどのグループでもオキシトシン血中濃度の分布は同程度でした。

このように自閉症の有無とオキシトシン血中濃度との間に直接的な関係は見られなかったのですが、その一方で①~③いずれのグループにおいても、オキシトシン血中濃度が高い子供ほど社交能力が高い傾向にありました。

そして自閉症児のグループに限っても、オキシトシン血中濃度と社交能力欠如の度合いとが反比例の関係にありました。 すなわち、社交能力の欠如が、オキシトシン血中濃度が最低水準にある自閉症児で最も顕著で、オキシトシン血中濃度が最高水準にある自閉症児で最も軽微だったのです。

今回の研究で測定したのは血液中に含まれるオキシトシンの量であって、脳脊髄液(脳が浸かっている体液)に含まれるオキシトシンの量ではありません。 オキシトシンの量は血中と脳脊髄液中とで異なる可能性があります。

オキシトシン受容体

今回の研究では、オキシトシン受容体に関与する遺伝子のバリエーション(変異)についても調べました。 その結果、オキシトシン受容体の遺伝子の違いも社交能力に影響を与えていることが明らかになりました。 (受容体の能力が不十分だと、オキシトシンが十分に存在していてもオキシトシンを十分に利用できないということでしょう)

今回の研究により、自閉症児の中でもオキシトシンの量が少ない子供あるいは遺伝的にオキシトシン受容体の性能が劣っている子供の場合には、オキシトシンのような作用を持つ薬が有効である可能性が示唆されます。