自閉症児の弟や妹が自閉症児となる確率は従来考えられていたよりも低いかも

(2013年8月) "JAMA Pediatrics" に掲載されたデンマークの大規模研究によると、兄や姉が自閉症である場合に弟や妹が自閉症であるリスク(再発リスク)は従来考えられていたよりも低くて、平均的な子供の7倍程度です。 他の複数の研究では、最大で19%のリスク増加とされていました。

150万人の子供のデータに基づく今回の研究によると、同じ両親から生まれた(異母/異父兄弟でない)兄や姉が自閉症である場合でも、再発リスクが7.5%増加するに過ぎません。

父親が違う兄や姉が自閉症である場合には再発リスクが2.4%増加するに過ぎず、母親が違う兄や姉が自閉症である場合には再発リスクに有意な増加は見られませんでした。

今回の研究に関与していない研究者は次のように述べています:
「自閉症では、早期の診断および介入が大切ですので、今回の研究結果は既に自閉症であることがわかっている子供がいる家庭にとっては非常に役に立つでしょう。

今回の研究結果も、子供の自閉症に遺伝的な要因と環境的(後天的)な要因の両方が関与していることを裏付けるものです」
今回の研究者も、「非遺伝的かつ環境的な要因による自閉症への影響は、これまで考えられているよりも大きいのかもしれない」と述べており、さらにどちらの研究者も、父親が共通している異母兄姉が自閉症である場合よりも母親が共通している異父兄姉が自閉症である場合の方が再発リスクが増加していることから、妊娠~出産時の要因の影響が大きい可能性があると考えています。
自閉症において遺伝的な要因が大きいのであれば、兄弟姉妹に自閉症児がいる場合には、もっと高い確率で本人も自閉症児になるはずだというわけですね。 2014年5月のニュースに「自閉症リスクの50%を後天的な要因が占める」というものがあります。

この 2014年5月の研究では再発リスクの調査も行っていて、兄弟姉妹に自閉症児がいる子供では再発リスクは10倍ほどという結果になっています。
ニューヨークの病院に勤務する自閉症児の専門家は次のように述べています:
「兄弟姉妹に自閉症児がいても、再発リスクの増加が7%に留まるというのは、すでに自閉症児がいる家庭にとっては比較的安心できるニュースではないかと思います。

ただし、今回の7%という数字が控えめ過ぎるものである可能性もあります。 特に、兄や姉の自閉症の症状が強い場合には、リスクの増加が7%では済まない可能性があると思います」
研究者は、自閉症児のいる両親が今回の結果(7%しか増加しない)について主治医と話をすることを勧めています。

7倍なのに7%?
冒頭の部分で「7倍なのに7%?」 と疑問に思いましたが、別のソースによると、デンマークでは、再発リスクが4.5~10.5%(生まれた年によって差がある)であるのに対して、一般的な(兄や姉に自閉症児がいない子供の)自閉症率は1.18%となっていました。

7倍という数字は多分、4.5~10.5%の平均値だか中央値だかを1.18%で割った数字のことではないかと愚考します。 そして、従来の研究で19%のリスク差とされていたというのは、(国によっても異なるでしょうが)1.18%的な数字にプラス19%ということなのだと思います。

つまり、今回の研究では自閉症の再発リスクが4.5~10.5%という結果ですが、従来の研究ではこれが20%以上だったということではないでしょうか。 そうすると、今回の結果は、従来の推算値の半分~それ以下ということになるので、朗報だということになるのではないでしょうか。

後に登場する、7.5%や2.4%という数字も、4.5~10.5%から1.18%を引いた感じの数字ではないでしょうか。