自閉症リスクの50%を後天的な要因が占める

(2014年5月) これまでの研究では自閉症スペクトラム(ASD)のリスク要因としては先天的な要因が80~90%を占め、後天的な要因は僅かであるという結果が主でしたが、"JAMA" に掲載されたキングズカレッジ・ロンドン(英国)などの研究によると、後天的な要因が50%ほどを占めると推算されます。

後天的要因の中でも非共有環境的な要因

この研究では、1982~2006年の間にスェーデンで生まれた子供200万人のデータを分析しました。 このうち 14,516人が ASD と診断されました。 上述のように自閉症のリスク要因として後天的な要因が50%ほどを占めていたのですが、リスク要因となっていたのは後天的な要因の中でも主として非共有環境的な要因でした。

共有環境的な要因と非共有環境的な要因
環境的(後天的)な要因は、共有環境的な要因と非共有環境的な要因とに区別されます。 前者は世帯年収のように家族に共通の要因のことで、後者は出産時のトラブルや妊娠中の投薬などのように家族のうちの1人(兄弟のうちの1人だけなど)にのみ存在する要因のことです。
兄弟姉妹に自閉症児がいる場合のリスク増加

この研究では、同じデータを用いて ASD の再発リスク(近親者に ASD の人がいることによって本人で増加する ASD のリスク)についても調べました。

その結果は次の通りです:
  • 兄弟姉妹に自閉症児がいる子供では再発リスクが10.3倍だった。
  • 異母/異父兄弟姉妹に自閉症児がいる子供では再発リスクが2.9~3.3倍だった。
  • 従兄弟姉妹に自閉症児がいる子供では再発リスクが2倍だった。
  • 性別(兄弟か姉妹か)による再発リスクの差は見られなかった。

参考までに、世間全般では自閉症児の割合は100人に1人です。 再発リスクが10倍ということは、およそ10人に1人の割合ということになります。

自閉症児の弟や妹が自閉症児となる確率は従来考えられていたよりも低いかも(2013年8月)」では、同じ両親から生まれた(異母/異父兄弟でない)兄や姉が自閉症である場合では、再発リスクが7倍程度に増加するという結果になっています。