塩分を控えると自己免疫疾患の症状が緩和される可能性

(2013年3月) "Nature" 誌に掲載されたイェール大学などの研究により、塩分の多い食事によって多発性硬化症や乾癬などの自己免疫疾患(免疫系が病原体ではなく自分の体の組織を攻撃する病気)に関与する免疫細胞の一群が誘導されることが明らかになりました。 自己免疫疾患の原因として、Th17 という免疫細胞の関与が疑われていますが、塩分によって、Th17 の誘導量が劇的に増加するというのです。

塩分の多いエサで脳脊髄炎が悪化

Th17 は以前から、多発性硬化症への関与が疑われていますが、この研究において行われたマウス実験においてマウスのエサに含まれる塩分を増やすと脳脊髄炎(自己免疫疾患の1つである多発性硬化症を想定して実験用に用意された疾患)の症状がひどくなりました。

塩分の多いエサにしたマウスでは、Th17 になるヘルパーT細胞の量が増えて、神経系に存在する炎症性の Th17 細胞の数が著しく増加していました。

塩化ナトリウムで Th17 が増加

さらに培養組織を用いた実験では、この Th17 の増加が塩によって分子レベルでコントロールされていることが明らかになりました。 塩化ナトリウム(食塩)の濃度を上げると、Th17 が通常の10倍にもなることもあり、さらに Th17 の攻撃性も増していたのです。

ただし、研究者の一人は次のように述べています:
「塩分の摂取量を制限することで乾癬などの症状が緩和されれば良いのですが、自己免疫疾患になるプロセスは多数の遺伝的および環境的な要因が関わる複雑なものなので、塩分が自己免疫疾患の発生にどの程度まで関与しているかを明確にするには、(塩分濃度が)極端でない条件での研究を繰り返す必要があります」