細菌に感染したときには断食が吉だが、ウイルスに感染したときには栄養を補給すると良い?

(2016年9月) 風邪などの感染症にかかったときには食欲が落ちますが、そういうときには無理にでも栄養を補給するほうが良いのでしょうか? "Cell" 誌に掲載されたイェール大学の研究によると、感染症の原因が細菌であるかウイルスであるかによって、その答えが正反対である可能性があります。

この研究で、細菌に感染しているマウスに特定の栄養を補給したところマウスが死んでしまったのに対して、ウイルスに感染しているマウスに特定の栄養を補給するとマウスが感染症を生き延びたのです。

細菌の場合

食中毒の原因となる細菌であるリステリア菌(Listeria monocytogenes)にマウスを感染させたところ、マウスは食欲をなくしてエサを食べなくなりました。 それでも一部のマウスに無理やり食べさせたところ、マウスは死んでしまいました。 エサを無理やり食べさせられなかったマウスは、やがて回復しました。

生死の鍵を握るのはブドウ糖

エサに含まれる栄養成分ごとに分けて、どの成分が感染症のときに有害となっているかを調べたところ、ブドウ糖を与えたときに致命的な反応が生じていました。 タンパク質や脂肪では、そのような反応は生じませんでした。 2-DGと呼ばれブドウ糖の代謝を防ぐ作用を有する化学物質を投与したマウスは、リステリア菌への感染症で食欲をなくしているときにブドウ糖を投与しても死にませんでした。

ウイルスの場合

A型インフルエンザ・ウイルス(A/WSN/33)に感染させたマウスで同様の実験を行ったところ、リステリア菌のときと結果が逆でした。 すなわち、ブドウ糖を与えられたマウスがウイルス感染を生き延びた一方で、ブドウ糖を与えられなかったり2-DGを投与されたマウスは死んでしまったのです。

脳の領域

さらに調査を進めたところ、死亡の原因となった感染症のタイプによって感染症の影響を受ける脳の領域が異なることが明らかになりました。 このことから、免疫系のどの部分が活性化するかによってマウスの代謝的な需要が違ってくるのだと考えられます。

実用性
今回の結果は、敗血症の患者への栄養補給をどうするかという問題の解決につながる可能性があります。 敗血症の原因は、細菌である場合とウイルスである場合があります。