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口腔や腸に住む細菌が作り出す脂質が動脈硬化を促進する?

(2017年11月) 今年の8月に "Journal of Lipid Research" に発表されたコネチカット大学などの研究によると、食事に含まれる脂質だけでなく人の口の中や腸に住む細菌が作り出す脂質も動脈硬化を助長している恐れがあります。 歯周病がある人で心臓病や脳卒中のリスクが増加するのもそのためかもしれません。

研究の概要

動脈硬化の患者群から採取したアテローマ(*)を分析したところ、アテローマに含有される脂質が哺乳類が作り出すものではなく特定の細菌が作り出すものであることが判明しました。 この特定の細菌とはバクテロイデス門(†)の細菌で、この細菌は脂質を大量に作り出すことが知られています。

(*) アテローム性動脈硬化(一般的な動脈硬化)の患者の血管に沈着するプラーク。 粥腫(じゅくしゅ)とも呼ばれる。

(†) 「門」は生物分類のカテゴリーの1つ。 界 > 門 > 綱 > 目 > 科 > 属 > 種

人体に由来する脂質とバクテロイデス菌に由来する脂質とが化学的に異なるために、血管壁において脂質を掃除する役割を担う免疫細胞がバクテロイデス菌に由来する脂質を異物と認識して反応し、それによって動脈硬化が引き起こされるのかもしれません。

また、バクテロイデス菌に由来する脂質も人体に備わる酵素により分解されますが、こうして分解された脂質は炎症を促進する分子の材料として用いられます。

バクテロイデス菌自体は普通は血流内にまで侵入しませんが、バクテロイデス菌が作り出す脂質は容易に細胞壁を通過して血流内に入り込みます。