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胎児のときに BBzP や DnBP に暴露すると生後の喘息リスクが増加

(2014年9月) "Environmental Health Perspectives" 誌オンライン版などに掲載された Columbia Center for Children's Environmental Health(コロンビア大学)の研究によると、妊娠中の女性が様々な家庭用品に用いられているフタル酸エステル(フタル酸塩)に暴露すると、生まれた子供が喘息になるリスクが増加すると思われます。

この研究に登場するフタル酸エステルは、フタル酸ブチルベンジル(BBzP)とフタル酸ジプチル(DnBP)の2種類です。 胎児のときにこれらの物質への暴露量が多かった子供(5~11才)では暴露量が少なかった子供に比べて、喘息のリスクが BBzP で72%、DnBP で78%それぞれ増加していました。
フタル酸エステル

フタル酸エステルは、合成香料(人工的に精製・製造される香料)や、プラスティック製の食品容器、ビニール製のフロアリング、防虫剤、シャワーカーテン、自動車のハンドルやダッシュボード(新しい車の匂いにもフタル酸エステルが含まれています)など様々なものに用いられています。

米国では 2009年以来、BBzP と DnBP を含むフタル酸エステルの子供用製品(玩具やチャイルド・ケア用品)への使用が禁止されています。 しかし、胎児をフタル酸エステルから守るための方策は一切講じられていません。
研究の方法

300組の母子を対象に、母親が妊娠27週目以降のとき、および子供が3才・5才・7才のときに尿検査を行って、有害性が疑われる4種類のフタル酸エステルの代謝物の量を測定しました。

そして、母親たちを、妊娠27週目以降のときのフタル酸エステル代謝物の尿中量に応じて3つのグループに分けて、尿中量が最も多かったグループと最も少なかったグループとで、子供が5~11才のときの喘息の有無を比較しました。

結果

5~11才のときに喘息と診断されていた子供は全体の約1/3にあたる94人でした。 これ以外にも喘鳴や喘息様症状の病歴のある子供が60人いましたが、喘息と診断されてはいませんでした。

DnBP に関してのみ、喘息だけでなく喘鳴や喘息様症状についても胎児の時の暴露とのあいだに相関関係が見られました。

調査対象となったフタル酸エステルのうちの残り2つ、フタル酸ジエチルヘキシル(DEHP)とフタル酸ジエチル(DEP)は、喘息のリスクと喘息様症状のリスクいずれとのあいだにも相関関係が見られませんでした。

BBzp 代謝物の尿中量はサンプルによって未検出から 550ng/ml まで、DnBP 代謝物の尿中量も 1 ~ 1,110 ng/mL と幅がありました。 このようにサンプルによって大きな幅がある理由は不明です。

解説
フタル酸エステルによって喘息のリスクが増加する仕組みも不明ですが、炎症や酸化ストレスが関与している可能性があります。