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分岐鎖アミノ酸 ⇒ 3-HIB ⇒ しもふり肉 ⇒ インスリン抵抗性

(2016年3月) "Nature Medicine" 誌に掲載されたペンシルバニア大学の研究で2型糖尿病の発症リスクに分岐鎖アミノ酸が関与していることが示されました。出典: Penn Researchers Identify Cause of Insulin Resistance in Type 2 Diabetics

研究の背景
しもふり肉とインスリン抵抗性の関係
2型糖尿病ではインスリン抵抗性(*)が問題視されますが、このインスリン抵抗性は過剰な脂肪によっても引き起こされます。 中でも特に問題となるのが、骨格筋(†)に過度の脂肪が存在する場合です。

(*) インスリン抵抗性とは、血中にインスリンが十分に存在するのに体がそれを利用できないために、細胞が血中のブドウ糖を利用できず血糖値が上がるという状態のことです。

(†) 内臓の筋肉ではない骨に付く筋肉。 いわゆる普通の筋肉。
仮説

そこで研究チームは、筋肉中の脂肪を減らすことによってインスリン抵抗性を防げるのではないかと考えました。 研究者は次のように述べています:

「この研究では、『脂肪がどのようにして骨格筋に入り込むのか?』 あるいは 『糖尿病患者に見られる分岐鎖アミノ酸の増加はインスリン抵抗性に関係しているのか?』 といった大きな疑問を解明することを目的としました」

「ヒトの体内に存在する分岐鎖アミノ酸はすべて食事から摂取したものです(体内では作られない)。 10年以上も前から、糖尿病患者において分岐鎖アミノ酸の血中濃度が増加することがわかっていますが、分岐鎖アミノ酸とインスリン抵抗性や糖尿病との関係はわかっていませんでした」
研究の概要
マウス実験とヒトの筋肉および血液のサンプルを用いた実験により、分岐鎖アミノ酸が分解される時に副産物として生じる3-HIBという化合物が筋肉細胞から分泌されて、血管壁の細胞を活性化させることが明らかになりました。 これによって、骨格筋に送り込まれる脂肪の量が増加して筋肉に脂肪が蓄積し、そのためにインスリン抵抗性が生じていたのです。 筋肉細胞中における3-HIBの合成を阻害すると、筋肉が脂肪を取り込まなくなりました。
「今回の研究では、3-HIBが脂肪酸の筋肉への出入りを調節することによって分岐鎖アミノ酸の分解と脂肪酸の(筋肉中への)蓄積とを仲介するメカニズムが明らかになりました」
今回の研究の大部分はマウスの細胞を用いて行われましたが、研究チームはヒトの糖尿病患者に3-HIBが多いことも確認しています。