バリウムやハルシオンなどの向精神薬で認知症のリスク

(2012年9月) "*The BMJ*" に掲載されたフランスの研究で、バリウムやザナックスなど、不安感や睡眠障害などの症状に処方される向精神薬を服用している中高齢者で、認知症になるリスクが増加する可能性が指摘されています。
Sophie Billioti de Gage, et al. Benzodiazepine use and risk of dementia: prospective population based study. BMJ 2012; 345 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.e6231
この研究によると、65歳以上でベンゾジアゼピン系薬を服用している場合、認知症になるリスクが服用していない場合に比べて 60%(他の要因を考慮した後の数字)増加します。
若い人がベンゾジアゼピン系薬を服用し続けた場合の認知症リスクについては未だまったく研究がなされていません。

研究グループによると、ベンゾジアゼピン系薬の服用は数週間に留めておくのがよいそうです。 現状ではベンゾジアゼピン系薬は短期間しか効果がないというエビデンス(証拠)があるのに、数年間にわたって服用し続ける人が少なくありません。

研究の方法

この研究では、フランスに在住の中高年の人たち 1,063人を追跡調査しました。 研究期間の始めには、1,063人の中に認知症の人はいませんでした。 研究開始から5年のうちに95人がベンゾジアゼピン系薬(アンビエン、ハルシオン、クロノピン、レストリル、バリウム、ザナックス)の服用を始めました。

結果

15年後、1,063人のうち253人が認知症になりました。 認知症になった人たちのうちベンゾジアゼピン系薬を服用していたのは30人で、ベンゾジアゼピン系薬を服用している場合には32%が認知症になったのに対し、ベンゾジアゼピン系薬を服用していない場合に認知症になるのは23%という結果でした。

考慮した要因

この結果は、年齢・性別・独居・高血圧糖尿病・認知症の初期の兆候などのリスク要因を考慮したうえでのものです。 さらに、認知症のリスク要因としての鬱症状も考慮に入れています(ベンゾジアゼピン系薬を服用する症状の1つに欝症状がありますが、この鬱症状というのは認知症になるリスク要因と考えられています)。

ただし、不安感や睡眠障害(関連記事参照)にしても、認知症のリスク要因である可能性がありますが、これらをリスク要因として考慮するまでには踏み切れませんでした。