βアミロイド周囲のミクログリアは悪者ではなかった

(2015年1月) アルツハイマー病患者の脳に見られるβアミロイドのプラークは常に、その周囲を免疫細胞の一種であるミクログリアによって取り囲まれています。 そのため、(βアミロイドの)周辺の脳細胞に見られる炎症および損傷がミクログリアによるものではないかと疑われてきましたが、"Nature Communications" 誌に掲載されたイェール大学の研究によるとそうでもないようです。

ミクログリアは周辺の脳細胞にダメージを与えているのではなく、βアミロイドを閉じ込めているのだと思われます。

この研究で、高解像度イメージング技術を用いてマウスの脳を調べたところ、ミクログリアが物理的な障壁となってβアミロイドのプラークの拡散を鈍らせ、浮遊しているβアミロイドがプラークに結合して毒性を発揮するのを遮断していたのです。

研究者は次のように述べています:
「アルツハイマー病に関してはおそらく『炎症は悪者だ』という考えは間違っているはずです。 加齢によってミクログリアが減少するとβアミロイドのプラークを封じ込める能力が衰えて、βアミロイドが放出されニューロン間の接続を破壊します」
過去の研究では、脳にβアミロイドのプラークが大量に存在するのに認知症(アルツハイマー病)の症状が出ていない人がいることが示されています。 そこで次にアルツハイマー病の症状の原因として疑われたのが炎症でした。 ところが、炎症をターゲットとする薬はアルツハイマー病に効果がありませんでした。(そういうわけで今回、炎症が悪者かどうかを調べる研究が行われました)
「ミクログリアがβアミロイドのプラークを脳の健康な部分から遮断している可能性が考えられます。 この考え方は、βアミロイドのプラークが脳に大量に存在するのに認知機能がさほど衰えていない人の存在と辻褄が合います。 ミクログリアのシールド機能を促進することによって(βアミロイドによる)ニューロンへの毒性を軽減できました」