自転車ヘルメットの義務化により自転車の危険行動が増える?

(2016年1月) "Psychological Science" 誌に掲載されたバース大学(英国)の研究によると、自転車に乗る時などにヘルメットをかぶっていると大胆になって危なっかしい行為や刺激を求める行為を好むようになる可能性があります。

自転車の安全のためにヘルメットの着用を義務付けるべきだという声もありますが、この研究によるとヘルメットの義務化が果たしてどの程度効果的なのかは甚だ疑問です。

研究の方法
この研究では、17~56才の男女80人を被験者とする試験を行いました。 80人を2つのグループに分けて、一方のグループには野球帽を、そしてもう一方のグループには自転車用のヘルメットをかぶってもらい、PC画面上に表示される風船をふくらます(ふくらましすぎると割れる)という作業を30回繰り返してもらいました。
被験者には、実験の目的が視線の追跡であると伝えられ、野球帽やヘルメットをかぶるのは視線追跡装置(頭の上に載せる)を支えるためだと説明されました。
作業のルール
風船に空気を送り込むたびに被験者にポイントが与えられるけれども、空気を送り込み過ぎて風船が割れるとポイントが全て失われるというルールでした。
風船が割れることを恐れて慎重になり過ぎるとポイントが稼げず、ポイントを稼ぐことに夢中になってリスクを取りすぎると風船が割れてポイントが失われるというわけです。
結果

作業で得たポイントには両グループで違いがありませんでしたが、ヘルメットをかぶっていたグループの方がリスク(ギャンブル的な的な行為)と刺激を好むようでした。

解説

過去の類似研究でも、シートベルトを着用していると運転の仕方が変わる、あるいはアメフトでヘルメットを身に着けているとタックルが攻撃的になることが示されていますが、今回の研究によると、ヘルメットをかぶっていることによって、(今回の作業がそうであったように)ヘルメットの有無が何の意味も持たない面においてすら慎重さが低下してしまう可能性があります。

研究者によると、戦場における兵士の状況判断にもヘルメットなどの防具の着用が影響を及ぼしている可能性があります。

コメント
研究者は次のように述べています:
「危険に直面する人たちの安全を保つというのは単純な課題ではありません。 ヘルメットの義務化により自転車の安全を保とうとしている国が複数ありますが、そういう国はそういったアプローチが正しいのかどうかを再検討する必要があります」
今回の研究者が過去に行った研究では、自動車がヘルメットをかぶっているサイクリストを追い抜くときには自転車との横の距離が近くなることや、反射服(夜間に車のライトに反射して視認性を高める)を着て自転車に乗っていても自動車による自転車の追い抜き方に違いが生じないことが示されています。