ポプラやヤナギを大量に植えるとオゾンが増えて早死にが増える

(2015年7月) 石油などに代わる資源としてバイオ燃料が注目されていますが、"Environmental Science and Technology" 誌に掲載されたランカスター 大学(英国)の研究によると、バイオ燃料を目的として植物を栽培する場合には栽培を行う地域を慎重に選定する必要があります。

バイオ燃料植物とオゾン
バイオ燃料は石油や石炭などの化石燃料と違ってCO2の放出という点からは中立的(*)ですが、バイオ燃料として用いられる植物(ポプラや、ヤナギ、ユーカリなど)の中には従来の農作物よりもオゾンの前駆物質であるイソプレンを多く放出するものが多数存在します。
(*) 燃焼時にCO2を放出するという点では化石燃料と同じですが、燃焼時に放出するCO2が生育時に吸収したCO2の量と等しいので差し引きゼロになると考えられます。 さらに、化石燃料と違って資源が枯渇することがありません。
オゾンの有害性

過剰に存在するオゾンは人体に有害で、欧州では毎年2万2千人が地表に存在するオゾン(ground-level ozone)が一因となり早死にしていると推計されています。 さらにオゾンは、小麦やトウモロコシなどの農作物の発育にも悪影響を及ぼします。

今回の研究

今回の研究では、EUが掲げるバイオ燃料の目標値を達成するのに必要なだけのバイオ燃料植物を栽培することは可能だけれども、これを比較的安全に行うには人口が少ない地域や農業が盛んな地域を避ける必要があることがわかりました。

例えば、バイオマスの産出量が多いポプラを人口密集地域の付近で大量に栽培すると、ポプラが放出するイソプレンのために地表に存在するオゾンの量が増加します。 ヨーロッパは地表に存在するオゾンのそもそもの量が多いので、ポプラ(あるいはヤナギやユーカリ)を大規模に栽培することによってオゾンが僅かに増えるだけでもオゾンによる早死にが増加すると考えられます。