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高血圧の診断、血圧測定、血圧の目標値


血圧測定と診断

高血圧かどうかの判断は血圧測定により行います。 血圧の測定には一般的に水銀またはデジタル式の血圧計を用います。 血圧計の圧迫帯(マンシェット)は上腕部に巻きつけますが、これは①上腕部では皮膚のすぐ下に動脈が存在するため、そして②座っていても横たわっていても心臓と同じ高さに来るのが上腕部になるためです。

血圧計の単位には「mm Hg」が用いられます。 「Hg」は水銀の元素記号なので、mm Hg とは「水銀で~mm」という意味になります。

血圧計は水銀式のものでもデジタル式のものでも数値が2つありますが、大きい方の数字が最高血圧(収縮期血圧)を、そして小さい方の数字が最低血圧(拡張期血圧)を表しています。 「収縮期」とは心臓が鼓動するときのことで、「拡張期」とは鼓動と鼓動の合間のことです。

収縮期血圧と拡張期血圧でリスクの種類が異なる

"The Lancet" 誌(2014年5月)に掲載された研究によると、同じ高血圧でも、収縮期血圧が高い場合と最低拡張期血圧が高い場合とではリスクが増加する心血管疾患(心臓や血管の病気)の種類が異なります。

この研究では心血管疾患を持たない30才超の患者125万人分の医療記録を調査しました。 その結果、収縮期血圧が高い患者では脳内出血(出血性脳卒中)、くも膜下出血(出血性脳卒中の中でも最も致死率が高い)、および安定狭心症のリスクが増加していた一方で、拡張期血圧が高い患者では腹部大動脈瘤のリスクが増加していました。

血圧は「最高血圧/最低血圧 mm Hg」というふうに表記されます。 例えば「130/85mm Hg」であれば、最高血圧が 130mm Hg で最低血圧が 85mm Hg だというわけです。

血圧の分類
分類 最高血圧(mm Hg) 条件 最低血圧(mm Hg) 備考
至適血圧 120未満 かつ 80未満 望ましい
正常血圧 130未満 かつ 85未満 今後の血圧増加に注意が必要
正常高値血圧 130~139 または 85~89 今後の血圧増加に注意が必要
I度(軽症)高血圧 140~159 または 90~99 昔は「境界高血圧」と呼ばれていた
II度(中等症)高血圧 160~179 または 100~109 高血圧
III度(重症)高血圧 180以上 または 110以上 高血圧
収縮期高血圧 140以上 かつ 90未満 最高血圧だけが高い。60才以上に多い

血圧の場合、「正常」と「適切」が異なる点に注意が必要です。 「正常」とされる 130/85 mm Hg 未満の血圧であっても理想的に健康的な血圧だというわけではないのです。 理想的とされる血圧は120/80 mm Hg 未満の「至適血圧」です。 医師によっては 115/75 mm Hg 未満が理想的で、それ以上から心臓発作や脳卒中などのリスクが増加し始めると考える人もいます。

高血圧かどうかは、数回の診察時に血圧を数回ずつ測ることで判断します。 このように何度も血圧を測定するのは、血圧が1日のうちに変動し続けているためです。

高血圧の診断時には、尿や血液、心電図、コレステロール値などの検査も行われることがあります。

白衣高血圧と隠れ高血圧

病院に来ているときには緊張のために血圧が上がることがあります。 20%ほどの患者は、病院にいるというだけで血圧が平常時と異なってしまいます。 この現象を「白衣高血圧(white coat hypertension)」といいます。 参考記事: 医師による血圧測定では、看護士が測定する場合よりも血圧が高くなる

逆に、病院で測定したときには血圧が正常だが自宅で測定すると高いという場合もあり、こういうケースは「隠れ高血圧(masked hypertension)」と呼ばれます。

白衣高血圧の人や隠れ高血圧も不健康

"Journal of the American College of Cardiology" に2015年に発表された UT Southwestern Medical Center(米国)の研究によると、白衣高血圧の人や隠れ高血圧の人でも正常血圧の人に比べて心臓発作・心不全・脳卒中のリスクと動脈硬化や腎障害などのリスクが高くなります。

慢性腎疾患と隠れ高血圧

"Clinical Journal of the American Society of Nephrology"(2016年)に掲載されたミネソタ大学の研究では、慢性腎疾患の患者の28%に隠れ高血圧があるという結果になっています。 この研究ではさらに、病院で測定した血圧が適正でも自宅で測定した時の血圧が高い人は腎臓・心臓・血管が損傷している率が高いことも示されています。

血圧を測定するときには
  • 自宅で自分で血圧を測るときでも、病院で測ってもらうときでも、5分以上は静かに座って血圧が正常になってから、血圧を測定しましょう。 さもないと、血圧が実際の値より 10~20mm ほども高くなることがあります。 測定結果が不正確だと、高血圧の診断も不正確になります。
  • 病院で医師や看護婦に血圧を測定してもらう場合にも、測定結果が不正確であることが少なくありません。 血圧の測定中はおとなしくしていましょう。 測定中に医師や看護婦とお喋りをすると、血圧が 20mm ほど高くなります。
血圧測定時に考慮が必要な点

血圧を判断するときには以下も考慮します:

  • 一般的に早朝は血圧が低い。
  • 食後、喫煙後、飲酒後には血圧が上がる。
  • ストレスやリラックス状態などの精神状態も血圧に影響するので、自宅や職場でも血圧を測定して参考にすると良い。
  • 寒さによって血管が収縮する(体温が失われるのを防ぐため)ため血圧が上がる。
  • 最高血圧と最低血圧の差が小さいと心筋梗塞や脳卒中のリスクが増加する。
  • 左右の腕の血圧差も心臓疾患リスクの目安となる。 参考記事: 左右の腕の血圧差も重要な情報源
中間血圧

高血圧による心筋梗塞や脳卒中などのリスクを把握するために、最高血圧と最低血圧の他に「中間血圧」という尺度も用いられます。 中間血圧は最高血圧と最低血圧から次の式を用いて算出されます:

  中間血圧=最低血圧+1/3(最高血圧-最低血圧)

例えば、最高血圧が 150 mmHg で、最低血圧が 90 mmHg という人であれば、中間血圧は次のようになります:

  90mmHg+1/3(150mmHg-90mmHg)
  =90mmHg+60÷3mmHg
  =110mmHg

中間血圧は70~110mmHgが適正だとされています。

『最高血圧が高いと危ない』とか『最高血圧と最低血圧の差が小さいと危ない』と言われますが、いずれも結局は『中間血圧が高いと危ない』ということです。 最低血圧に比して最高血圧が高い場合にも、最高血圧と最低血圧の差が小さい場合にも中間血圧が高くなります。

血圧の目標値

上記の血圧値の分類によれば、120/80 mm Hg 以下というのが理想的ですが、高血圧には自然な老化の一部という側面もあるため、薬を服用してまでこの水準を達成するのが良いとは限りません。 血圧の目標値は年齢や健康状態によって異なります。 参考記事: 65才以上の血圧目標値はやはり 150 mmHg 以下で十分だと思われる

状態 目標値
60才以上の健康な人 150/90mm Hg 未満
60才未満の健康な人 140/90mm Hg 未満
慢性腎臓病、糖尿病、または冠動脈疾患(もしくは冠動脈疾患のリスクが高い)がある人 140/90mm Hg 未満
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