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ブルーベリーの健康成分と健康効果

ブルーベリーは 1900年代初頭に栽培が始まりましたが、人気が出始めたのはここ10年間ほどのことです。 1990年には10ヶ国でのみ栽培されていたのが 2011年には27ヶ国で栽培されるようになり、国連食料農業機構(FAO)が健康効果が高いとして挙げる5つの果物の1つにも選ばれています。

ブルーベリーの健康成分
ブルーベリーには、様々なアントシアニン類のほかケルセチンなどのフラボノールが含有されています。 アントシアニンとフラボノールはいずれも抗酸化能力(後述)を有するフラボノイドの一種で、ブルーベリーには吸収効率の良い配糖体の形で含有されています。
ブルーベリーのアントシアニン含有量は100gあたり25~495mgです。 アントシアニン含有量は、果実のサイズ・成熟の程度(若い実の方が多い)・生育環境・保存環境により異なります。 アントシアニンはブルーベリーの皮に最も豊富に含まれています。 アントシアニンを摂るには、生よりも冷凍のブルーベリーの方が適しています。
ブルーベリーの抗酸化能力は果物の中でもトップクラスで、その大部分(84%)がアントシアニンによるものだと推算されています。 ブルーベリーはビタミンCの含有量も果物の中でトップクラス(100gあたり10~100mg)ですが、ブルーベリーの抗酸化能力にビタミンCが占める割合は10%以下でしかありません。
ブルーベリーに含有されるビタミンCの量は、ブルーベリーの保存環境(酸素濃度・温度・光など)により異なります。 ブルーベリーを冷蔵庫(0℃)で10日間保存するだけでも、ビタミンCの30%近くが失われます。
ブルーベリーの健康効果

ブルーベリーは眼に良いことで有名ですが、それ以外にも神経系・脳・心臓・血管などの健康に有益です。

抗酸化効果

アントシアニンなどの抗酸化物質には活性酸素種(ROS)と呼ばれる物質を除去する効果があります。 ROSは体内で怪我や感染症などに対抗するメカニズムの一部として自然に作られるほか、日光や農薬などの汚染物質によって増加します。 ROSは人体にとって必要な存在ですが、抗酸化物質の量に対してROSが過剰になると酸化ストレスが生じ、ガンなどの病気や老化を助長します。

人工的に合成された抗酸化物質よりもアントシアニンのような自然の抗酸化物質の方が、利用効率が高く副作用の恐れも少ないと期待されています。

免疫力強化
ブルーベリーにはスチルベノイドと呼ばれる化合物も含まれています。 スチルベノイドには、ビタミンDと協力してCAMPと呼ばれる遺伝子の発現量(*)を増加させるという作用があります。 CAMP遺伝子は自然免疫機能(†)において重要な役割を果たしています。

(*) 「遺伝子の発現」とは、遺伝子の設計図に基づいて体内で特定のタンパク質が作られることです。

(†) 自然免疫反応は体に侵入してきた不特定の病原菌に対する一時的な防衛システムで、対応は早いのですが効率的ではありません。 これに対して獲得免疫反応は病原菌の種類を学習して特定の病原菌を効率的に退治しますが、その分対応が遅れます。
糖尿病

ブルーベリーに2型糖尿病のリスクを下げる効果のある可能性は多数の研究で示されています。

米国立衛生研究所(NIH)が行った研究ではブルーベリーを週に2~3回食べる習慣のある人は2型糖尿病のリスクが20%以上低いという結果になっていますし、"*The BMJ*"(2013年)に掲載された研究でも果物ジュースを飲むの代わりにブルーベリーなどの果物をそのまま食べるようにすることで糖尿病のリスクが下がるという結果になっています。 2016年に "European Journal of Clinical Nutrition" に発表されたメタ分析では、アントシアニンの摂取量が多くてもブルーベリーなどのベリー類の摂取量が多くても糖尿病になるリスクが減るという結果になっています。

ブルーベリーには、インスリン感受性を改善したりグルコース(ブドウ糖)が引き起こす酸化ストレスからβ細胞(インスリンを分泌する膵臓の細胞)を保護したりする効果があると思われます。

複数の動物実験で、抗酸化物質を豊富に含む果物に骨の分解を抑制する一方で骨の形成を促進して骨を丈夫にする作用のあることが示されています。 ブルーベリーでは、アントシアニンや、プロアントシアニジン、フラボノールといった成分が骨の健康維持に有益だと思われます。

認知機能

ブルーベリーなどのベリー類は、MINDと呼ばれ認知機能の維持を目的として考案された食事法の特色の1つです。

シンシナッティ大学の研究でも、軽度認知障害(MCI)の高齢者にフリーズドライのブルーベリー粉末またはをプラシーボを16週間にわたり与えることで認知能力(記憶力など)が改善されるという結果になっています。 この研究では、fMRI検査でもブルーベリー粉末により脳の活性が増大することが示されました。

ブルーベリーによる認知機能の向上はアントシアニンによるものだと思われます。 アントシアニンに短期記憶能力を改善する効果のあることが動物実験で示されています。

視力

アントシアニンに炎症を抑えて血管を健康にする効果があることから、アントシアニンにより眼の血流が改善されると考えられています。 この血流の改善によって、眼に生じた酸化ストレスが減少し白内障や黄斑変性などの眼病のリスクが下がるのではないかと期待されています。

また、ブルーベリーで夜目(暗闇における視力)が効くようになるとする研究や、それを否定する研究もあります。

心臓・血管

ブルーベリーには血圧・血管内皮機能・コレステロールを改善する効果もあるため、心臓病・脳卒中・動脈硬化の予防にも有益だと思われます。 ブルーベリーのこのような効果は主にアントシアニンによるものだと考えられています。

  • 高血圧: "American Journal of Clinical Nutrition"(2011年)に掲載されたハーバード大学などの研究で、18万人ほどの男女を14年間超にわたり追跡調査し、ブルーベリーを週に1回以上食べる習慣がある人は高血圧のリスクが10%低いという結果になっています。 "Journal of the Academy of Nutrition and Dietetics"(2015年)に掲載された研究でも、ブルーベリー粉末の服用により血圧が下がるという結果になっています。

    乳酸菌をブルーベリーと併用するとブルーベリーの降圧効果が損なわれるという結果になった研究もあるので注意が必要かもしれません。
  • 心臓発作: "Circulation" 誌(2013年)に掲載された同じくハーバード大学などの研究では、93,600人ほどの女性を18年間にわたって追跡調査し、ブルーベリーを週に3回以上食べる習慣がある女性は心臓発作のリスクが30%超低いという結果になっています。
ガン

ブルーベリーには、ガンの原因となるDNAの損傷を緩和する効果があると考えられています。 テキサス大学の研究チームによると、ブルーベリーなどのベリー類が含有する抗酸化物質には皮膚ガン・膀胱ガン・肺ガン・乳ガン・食道ガンの原因となる細胞ダメージを防ぐ効果があります。

また複数の研究で、ブルーベリーに含まれるポリフェノール類とビタミンCの相乗作用により(主に乳ガンと結腸ガンで)ガン細胞の増殖が阻害されたりガン細胞の死滅が引き起こされたりすることが示されています。

"eCAM" 誌に掲載された研究によると、ブルーベリーにはガンの放射線治療による副作用を軽減する効果も期待できます。