体温が高いほど腫瘍・外傷・感染症に対抗する免疫機能が加速される

(2018年5月) "Proceedings of the National Academy of Sciences" に掲載されたマンチェスター大学やウォーリック大学などの研究で、体温が高いほど腫瘍・外傷・感染症に対抗する免疫機能が加速されることが明らかになりました。 出典: Hotter bodies fight infections and tumours better – researchers show how

風邪をひいて熱が出たときのように少し体温が上がるだけでも感染症への反応をコントロールする「細胞時計」の速度が上がるのだそうです。

概要

プレスリリース(上記の「出典」のリンク先)の内容を箇条書きにまとめると次のようになります:
  1. 細胞時計とは、NF-κB(核内因子κB)と呼ばれるタンパク質が細胞核に出入りするリズムのことである。
  2. NF-κBは炎症シグナルにより活性化して細胞核への出入りを開始する。
  3. NF-κBは細胞核への出入りすることで遺伝子のスイッチをオンにしたりオフにしたりする。
  4. NF-κBが遺伝子スイッチのオン/オフを切り替えることによって、細胞は腫瘍・外傷・感染症に対応できるようになる。
  5. クローン病・乾癬(かんせん)・関節リウマチでは、NF-κBのコントロールがなされていない(「細胞時計が適切に機能していない」ということでしょう)。
  6. 体温が34℃のときにはNF-κB時計の作動が遅くなり、熱が出て体温が37℃よりも高くなった(40℃など)ときにはNF-κB時計の作動が速くなる。
  7. NF-κBがコントロールする遺伝子群の多くは(37~40℃というレンジでは)活性を体温に左右されることはないが、一部の重要な遺伝子(炎症の調節に深く関与する遺伝子など)は体温の影響を受けていた。
  8. 今回の研究では、体温が細胞や組織における炎症を変化させることが示された。

コメント

研究者は次のように述べています:
「インフルエンザや風邪など(の症状が)気温が低い冬季に悪化することが以前から知られています。 また、マウス実験では気温が高いと炎症やガンによる被害が少ないことが示されています。 今回の研究によれば、こうした現象は『体温が違うと免疫応答が異なる』ということで説明がつくかもしれません」
別の研究者は次のように述べています:
「目覚めて活動しているときと寝ているときとで体温に1.5℃ほどの差があります。 シフトワーク・時差ボケ・睡眠障害などで炎症性疾患のリスクが増加するのにも睡眠時に体温が下がる(体温が下がっているのに眠らずに活動している)のが理由かもしれません」