乳ガン手術後の小線源治療に疑問符

(2012年10月) イェール大学の研究で、乳ガンの手術後に行われる小線源治療の副作用が大きいことが示されました。

普通の放射線治療では、放射線を外側から照射しますが、小線源治療では放射性物質を胸に送り込みます。 2010年の報告では、2001年には1%未満であった乳ガン手術後の小線源治療率が、2006年には10%にまで増加しています。

研究者によると小線源治療が有効であるという確たるエビデンス(証拠)はありませんが、米国では65歳以上の6人に1人が乳ガンの手術後に小線源治療を受けています。

今回の研究

今回の研究は、65歳以上が加入する健康保険の加入者約3万人のうち 2008~2009年に乳房温存手術を受けた女性のデータに基づいています。

女性たちのうち小線源治療を受けたのは16%でした。 研究グループが種々の要因を考慮したうえで計算したところ、小線源治療を受けた女性の35%において翌年のうちに感染症や傷口・皮膚に関するトラブルなどの合併症が生じている一方で、従来の体の外側から行う放射線治療で同様の合併症が生じたのは18%でした。 100人あたりで言うと、小線源治療により合併症が起こる人が17人も増えていたことになります。

過去の研究

過去の研究にも、従来の放射線治療よりも小線源治療のほうが、乳房を切除したり急性合併症になったりするリスクが高いという結果になったものがあります。

放射線治療の是非

乳房温存手術の後ガンが再発する率は40%ですが、従来の体の外からの放射線治療により、この率は10%にまで下がります。 従来の放射線治療の副作用は腫れと肌の赤みです。

研究者によると、若い女性では(従来の外部からの)放射線治療のメリットがデメリットを上回りますが、年を取った女性の場合にはその放射線治療すら不要であるケースがあります。 したがって、「小線源治療と、従来の放射線治療のいずれが有効か」ということ以前に、「そもそも放射線治療が必要か」というところから医師と相談すべきです。