脳の老廃物を除去するのに睡眠が必要

"Science" 誌(2013年10月)に掲載された研究によると、睡眠中に脳から老廃物が排除されます。 この研究では、最新の撮影技術(MRIの一種?)を用いて、生きているマウスの脳を検査し、脳から老廃物が除去されるメカニズムを解明することに成功しました。

このメカニズムはグリンパ系(glymphatic system)と呼ばれるもので、脳脊髄液を脳全体に送り届けることによって脳に溜まった老廃物を血管へと押し流します。 老廃物は血管を通って肝臓に届けられ、そこで最終的に処理されます。 睡眠中には、アルツハイマー病の原因と考えられているβアミロイドの除去量も増加していました。
参考記事

研究グループがまず着目したのは、睡眠中にマウスの脳が消費するエネルギー量が10倍に増加するという点でした。 脳の老廃物を除去するシステムの活動が睡眠中に活発になるために、脳のエネルギー消費量が増加するのではないかと考えたのです。

研究グループは、脳脊髄液を脳全体に送り届けるのには大量のエネルギーが必要となるため、情報を処理するという仕事が少ない睡眠中にしか、グリンパ系が機能できないのではないかと考えています:
「脳が使えるエネルギーの量に限界があるためでしょうか、脳は『目覚めていて周囲の情報を処理している』という状態と、『眠っていて掃除をしている』という状態を切り替えているようなのです。 例えるならば、パーティーと後片付けのようなもので、両方を同時に行うことが出来ないわけです」

今回の研究では、睡眠中にマウスの脳の各細胞のサイズ(脳のサイズではなく、脳の細胞のサイズ)が60%も縮むことも明らかになりました。 これによって、細胞間に隙間ができるために、効率的に老廃物を除去できるようになります。 この脳の細胞の縮小には、ノルアドレナリン(睡眠中に活性が落ちる)が関与していると考えられます。

研究者によると、睡眠によって疲労が回復するのは、目覚めて活動している時に溜まる神経活動の副産物が睡眠時に一掃されるからかもしれません。 細胞の老廃物はリンパ系によって(睡眠によらずに)体外に排除されますが、脳に溜まる老廃物はリンパ系の対象外なのです。