脳の炎症を抑制すると耐糖能が改善する?

(2015年1月) "Diabetes" 誌に掲載されたオタゴ大学(ニュージーランド)の研究において、肥満マウスの脳に生じた炎症を抑制することによって、肥満と2型糖尿病の症状が大いに改善されました。

抗酸化物質を投与する実験

この研究ではまず、肥満マウスにブテインという漆(うるし)から取れるフラボノイド(抗酸化物質)の一種を肥満マウスに投与して、炎症性の免疫応答に関与する視床下部(脳の器官の1つ)のシグナル伝達経路(IKKβ/NF-κB 経路)を遮断するのが血糖値とインスリン抵抗性の低減に有効かどうかを調べました。

肥満マウスの種類は2種類で、1種類は満腹感ホルモンであるレプチンの欠如を肥満の原因とするもの、そしてもう1種類は高脂肪食を肥満の原因とするものでした。

2種類の肥満マウスのいずれにおいても、ブテインを脳に直接投与した場合にも経口で投与した場合にも、(脳の炎症が抑制された結果)耐糖能と脳のインスリン・シグナル伝達が改善されていました。 ブテインの投与量が多いほど耐糖能の改善幅も大きくなっていました(用量反応が見られた)。

高脂肪食により肥満したマウスではブテイン投与による耐糖能の改善が著しく、低脂肪食を与えられていた(つまり肥満ではない?)マウスとの耐糖能の差が消滅するほどでした。

IKKβ/NF-κB 経路を阻害する実験

研究チームはさらに、代謝肥満症状(metabolic obesity symptoms)に IKKβ/NF-κB 経路の活性化が関与していることを確認するために、遺伝子療法の技法を用いてマウスの視床下部のニューロンで IKKβ/NF-κB 経路を阻害してみました。

そうしたところ、高脂肪食で肥満したマウスにおいて以下が認められました:

  • 体重の減少
  • 脂肪蓄積の減少
  • エネルギー消費の増加
  • レプチン・シグナル伝達改善(のエビデンス)
研究者は次のように述べています:
「今回の結果は『飽和脂肪を多く含む食事によって脳内で複数の炎症プロセスが連鎖的に活性化され、それによってレプチンとインスリンのシグナル伝達が損なわれて肥満や2型糖尿病になる』という説を補強するものです」