(2014年9月) "Cancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention" 誌に掲載された Fred Hutchinson Cancer Research Center の研究によると、ブラジャーを着ける習慣によって乳ガンのリスクが増加することは無いと思われます。
ブラジャーの着用を開始した年齢や、1日にブラジャーを着用する時間、ブラジャーの種類(アンダーワイヤーの有無)によって、乳ガンのリスクに有意な違いが見られなかったのです。
先進国の女性に乳ガンが多いことから、過去20年近くにわたって、ブラジャーの着用が乳ガンのリスク要因となる可能性が懸念されていました。
発端となったのは 1991年に発表されたハーバード大学による研究や 1995年に出版された "Dressed to Kill: The Link Between Breast Cancer and Bras" という書籍です。
同書の主張は「ブラジャーによって乳房やその周辺のリンパ系からの毒素排出が妨げられて乳ガンになる」というものですが、この説に生物学的な根拠はあまりありません。 また、ハーバード大学の研究は、研究に欠陥があることが指摘されています。
この研究では、浸潤性の乳管ガン(乳房の乳管内部を覆っている細胞から発生する最もよく見られるタイプの乳ガン)の患者454人と、浸潤性の小葉ガン(乳房の母乳を作る腺から発生する一般的な乳ガン)の患者590人のデータを、乳ガンでは無い女性469人のデータと比較しました。 女性たちはいずれも更年期後の女性で、年齢は55~74才でした。
比較したデータに含まれていた項目は、乳ガンの家族歴や、出産歴、ブラジャーの着用を開始した年齢、ブラジャーの種類、ブラジャーのサイズ、1日あたりの着用時間、週当たりの着用日数、これまでの人生におけるブラジャー着用習慣の変化などでした。
浸潤性乳管ガンと浸潤性小葉ガンのいずれについても、ブラジャーの着用とのあいだに相関関係は見られませんでした。