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遺伝子的に乳ガンのリスクが高い女性は、葉酸塩の血中濃度が高いと乳ガンの発症リスクが3.2倍に

(2016年7月) "American Journal of Clinical Nutrition" に掲載されたトゥルク大学(フィンランド)の研究で、BRCAという遺伝子が変異体であるために乳ガンのリスクが高くなっている女性は、葉酸塩の血中濃度が高いと乳ガンになりやすいという結果になりました。出典: Plasma folate, vitamin B-6, and vitamin B-12 and breast cancer risk in BRCA1- and BRCA2-mutation carriers: a prospective study

予備知識
BRCA遺伝子変異体

National Cancer Instituteによると、BRCA1とBRCA2はどちらも、腫瘍を抑制する効果のあるタンパク質を作り出す遺伝子です。 BRCA遺伝子が作り出すタンパク質には、傷ついたDNAを修復して細胞の遺伝子材料を安定させる作用があります。

有害な遺伝子変異(*)が生じているBRCA1および/または(†)BRCA2を親から受け継いだ人では、BRCAがタンパク質を生産しなかったり、生産したタンパク質が正常に機能しなかったりするために、DNAの損傷が適切に修復されません。 そしてその結果、細胞がガン化しやすくなります。

(*) Wikipediaによると、BRCAの変異体は何百種類もあり、ガンのリスクに関して有害性が明らかなもの、有害性が疑われるもの、有害でないと思われるものなど様々です。

(†) BRCA1とBRCA2の両方が変異体であるという人もいます。

女性が一生のうちに乳ガンになるリスクは12%ほどです。 しかしBRCA1が変異体である女性では70才までに乳ガンを発症するリスクが55~65%に増加します。 BRCA2が変異体である場合も45%ほどに増加します。 BRCA遺伝子が有害な変異体である女性では、卵巣ガンのリスクも増加します。

乳ガンのリスクとビタミンB9

葉酸塩(ビタミンB9)はビタミンB6やB12と同様にヌクレオチドの生合成および生物学的なメチル化反応に深く関わっており、体内に存在する量が適正な範囲から大きく外れているとガンのリスクが増加すると考えられています。

BRCA遺伝子が変異体でない人であっても、血中の葉酸塩(天然のビタミンB9)の濃度が高かったり、葉酸(人工のビタミンB9)のサプリメントを服用していたりすると乳ガンのリスクが増加する可能性が指摘されています。

研究の方法
BRCA1またはBRCA2という腫瘍抑制遺伝子が変異体であるけれどもガン(*)の病歴はない女性164人を対象に、葉酸塩・ビタミンB6・ビタミンB12の血中濃度を調べ、その後平均6.3年間にわたる追跡調査を行いました。
(*) 非メラノーマ性の皮膚ガンは例外とした。
結果
追跡期間中に20件の原発性(*)乳ガンが発生しました。 葉酸塩の血中濃度が高かった(24.4ng/mL超)グループは、血中濃度がそれ以下だったグループに比べて、乳ガンのリスクが3.2倍に高くなっていました。 ビタミンB6とB12については、乳ガンのリスクとのあいだに関係が見られませんでした。
(*) 腫瘍が体の他の場所から転移してきたのではなく、そもそも乳房に生じた乳ガン。