乳ガンになった後には、激しい運動でガン細胞が増殖しやすくなる?

(2018年2月) これまでに様々な研究で乳ガンの患者にとって運動が有益(生存率が向上するなど)であることが示されていますが、"in vivo" 誌に掲載された研究によると乳ガン患者は運動を軽いものにとどめておくのが良いかもしれません。 今回行われたマウス実験によると、激しい運動により乳ガンの細胞の増殖が促進されるようなのです。

研究の方法

発がん性物質の注射により乳ガンを人為的に発生させたメスのラット(ねずみ)50匹を次の4つのグループに分けて半年間飼育しました:
  1. 運動をしないグループ
  2. 強度の運動をするグループ
  3. 中強度の運動をするグループ
  4. 高強度の運動をするグループ

そして半年後に、ラットから乳ガン腫瘍を採集して状態を比較しました。

結果

運動強度が低~高へと高くなるほどに、腫瘍細胞中におけるKi-67(細胞増殖の指標として知られるタンパク質)の量が統計学的に有意に増加していました。

ただし、運動をした3つのグループと運動をしなかったグループとの比較では、Ki-67の量に統計学的に有意といえるほどの差はありませんでした(p=0.08)。

低強度の運動をしたグループは運動をしないグループに比べてKi-67の量が少なかったのですが、この両グループの間の差は統計学的に有意といえるほどのものではありませんでした。

解説

運動のと乳ガンの予後の関係を調べたこれまでの研究では、運動量が多いほうが予後が良いという結果になっています。

これに対して、運動の強度と乳ガンの予後の関係を調べたこれまでの研究の結果には一貫性がありません。 例えば次のようなものです:
  • 中強度の運動でガン細胞の増殖と死滅の両方が増加する。
  • 低強度の運動がガン細胞を助長する。
  • 中~高強度の運動がガン細胞を抑制する。
  • 激しい運動がガン細胞を助長する。
  • 乳ガンが肺に転移するリスクに運動が及ぼす影響は食事脂肪の摂取量により異なる。

総じて言えば「乳ガンになったら運動量を増やすのが良いけれど、運動の激しさをどうすれば良いのかについては不明である」ということになりそうです。

結論

今回の研究チームは、結論として次のように述べています:
「今回の結果に基づくと、乳ガン患者には低強度の運動が安全かもしれない。 中~高強度の運動は腫瘍細胞の増殖を増加させてガンを悪化させる恐れがある。 ただし、今後の研究で今回の結果を確認する必要がある」