運動だけでも抗ガン剤と組み合わせても乳ガン治療に有益

(2015年3月) "Journal of the National Cancer Institute" に掲載されたデューク大学などの研究(マウス実験)で、運動によって乳ガン腫瘍の周辺に存在する血管の量と機能が改善して、ガンの患部へと届けられる酸素の量が増加し、化学療法の効果が向上するという結果になりました。

腫瘍がガン治療に対する耐性を獲得する理由の1つは、腫瘍により作り出される血管が網目状に絡み合って腫瘍への酸素供給量が不足することにあります。 抗ガン剤による治療や放射線治療は酸素が十分に供給されている組織をターゲットとするように作られているため、酸素が極度に不足した状態のとき腫瘍はこれらの治療への耐性を獲得するのです。

運動だけの効果を調べる実験

研究チームはまず、乳ガン細胞を植え込んだマウスを2つのグループに分けて一方のグループにのみ運動をさせるという実験を行いました。

運動をしたグループに見られた効果は次のようなものでした(比較対象は運動をしなかったグループ):
  • 腫瘍の成長が遅かった。
  • 腫瘍の細胞死が1.5倍に増加していた。
  • 小血管の密度が60%ほど増加し、腫瘍組織への酸素供給が改善されていた。
  • 腫瘍内の血管構造の見た目と機能も正常に近づいていた。
運動と抗ガン剤を併用する実験

研究チームは次に、運動によって抗ガン剤(シクロホスファミド)の効果が向上するかどうかを実験しました。 この実験ではマウスを次の4つのグループに分けました:

  1. 抗ガン剤+運動のグループ
  2. 運動だけのグループ
  3. 抗ガン剤だけのグループ
  4. 何もしないグループ
4つのグループで腫瘍の成長速度を比較したところ、1のグループで最も速度が遅くなっていました。 さらに、2と3のグループで腫瘍の成長速度は同程度でした。
つまり、運動に抗ガン剤と同程度の効果があるということでしょうか。
研究チームは今後、ヒトでよく見られる腫瘍の成長がゆっくりなタイプの乳ガンに対する運動の効果を調べる予定です。