乳ガン患者の身体活動量とテロメアの長さの関係

(2016年9月) "Plos One" に掲載されたラヴァル大学(カナダ)の研究により、身体活動量が多い乳ガン患者はテロメアが長いという結果になりました。 テロメアは老化や健康の指標で、長いのが良いとされています。

研究の方法
乳ガンの手術を受ける予定で、これまでに乳ガンの治療を一切受けていない患者162人の生活習慣・健康状態・腫瘍の状態と末梢血内に存在する白血球のテロメア(*)の長さを調べました。
(*) テロメアの長さの検査には一般的に、末梢血内に存在する白血球のテロメアが用いられます。
結果
データ全体

仕事移動(通勤など)に伴う身体活動の量が多いとテロメアが長いという、ある程度の関係性が見られました。 ところが、余暇に体を動かすこと自体を目的として行う運動とテロメアの長さとの間には関係が見られませんでした。 家事に伴う身体活動とテロメアの長さとの間にも関係が見られませんでした。

閉経前と閉経後の違い
閉経前の患者では、通勤などの移動に伴う身体活動の量とテロメアの長さとの間にのみ関係が見られました(*)が、仕事に伴う身体活動の量とテロメアの長さとの間には関係が見られませんでした。 閉経後の患者では逆に、仕事に伴う身体活動の量とテロメアの長さとの間にのみ関係が見られました。
(*) 移動に伴う身体活動の有無(身体活動量がゼロか、少しでも活動量があるか)で2つのグループに分けたところ、移動に伴う身体活動の量があるグループ(37人)のほうがテロメアが長いことが多かった。
結論

テロメアが長い乳ガン患者のほうが予後が良いのかどうかについては、今回の研究ではわかりません。 したがっ今後の研究で、その点を確認する必要があります。

しかしながら研究チームによると、白血球は抗ガン性の免疫反応にも関与しているため、日常的な身体活動量を少し増やすだけ(*)乳ガン患者に有益である可能性があります。
(*) 例えば、通勤方法をクルマから電車やバスに変えるだけでも少しは歩くことになるので身体活動量が増えます。 エレベーターやエスカレーターの代わりに階段を利用するのも身体活動量を増やす効果があります。