乳ガンの生存率向上にはウォーキングよりもジョギングが効果的?

(2014年2月) "International Journal of Cancer" に掲載されたローレンス・バークレー国立研究所(米国)の研究によると、乳ガン患者の生存率はウォーキングとジョギングのどちらでも改善されますが、ジョギングのほうが効果が高いと考えられます。

研究の方法

この研究では、ウォーキングをする習慣のある乳ガン患者700人(以下「ウォーキング・グループ」)とジョギングをする習慣のある乳ガン患者300人(以下「ジョギング・グループ」)とで生存率を比較しました。

研究期間は9年間で、この期間中に亡くなったのはウォーキング・グループでは33人、ジョギング・グループでは13人でした。

結果

両グループを併せて1つのグループとして見ると、乳ガンによる死亡率がウォーキングでは(1日あたり)1.6kmごとに、そしてジョギングでは1km程度ごとに25%減少していました。

ジョギング・グループだけを見ると、1kmのジョギングによって、(乳ガンによる)死亡率が40%減少していました。 1日のジョギング距離の平均が3.6kmを超える人では、9年間における乳ガンによる死亡率が95%も減少していました。

これに対して、ウォーキング・グループでは、毎日歩く距離が1.6.kmごとに乳ガンの死亡率が5%ずつ減少していましたが、これは統計的に有意な数字とは言えません。

上記の結果は、乳ガンの生存率に影響を与えかねない要因(年齢や、家族歴、人種、更年期など)を考慮したうえでのものです。

コメント

ジョギングによって生存率が向上する理由は不明ですが、研究者は次のように推測しています:

「ジョギングのほうが(ウォーキングよりも)、ホルモン・サイクルを阻害してエストロゲンの体内量を低下させる効果が強いのかもしれません。 エストロゲンが減るということは、乳ガンが育つための栄養が減るということです」
結果を鵜呑みにはできない

乳ガンと運動の関係に詳しい専門家(今回の研究には関与していない)によると、今回の研究ほどウォーキングとジョギングで効果に劇的な差がついた研究はちょっと記憶に無いそうです。 つまり、今回の結果は鵜呑みには出来ないということでしょう。

今回の研究には、運動量が乳ガン患者の自己申告によるものである、そして乳ガンの進行程度・乳ガンの種類・乳ガンの治療法など重要なデータが欠けているという弱点があります。

例えば、ガンの進行程度が軽い人ほどウォーキングよりもジョギングを選択する傾向にあり、したがってジョギングによって生存率が改善されるのではなく、生存率がそもそも高い人がウォーキングよりもジョギングをする傾向にあるという可能性も考えられます。

アドバイス
この専門家は次のように述べています:

「ウォーキングよりはジョギングの方が良いとは思います。 消費エネルギーが大きいためです。 しかし、自分に適した激しさの運動をするので十分です。 以前からジョギングをしていた人は別として、高齢になってからジョギングを始めるというのは負担が大きいのではないでしょうか」

「同じウォーキングでも、歩く速度によって運動量は大きく違ってきます。 ウォーキングしか出来ない場合にも、なるべく速いペースで歩くようにすると良いでしょう。 息切れするくらいのペースで歩ければ尚良し」

「若い患者さんの場合は、乳ガンの治療後にジョギング習慣を開始すると良いと思います。 ただし、ジョギングなどの運動を開始する前には医師に相談しましょう」