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母乳と赤ちゃんの腸内細菌の関係

(2013年8月) "Environmental Microbiology" 誌に掲載されたスイスの研究によると、母乳を経由して母親に住む「善玉」の腸内細菌が新生児の消化管に移住します。 腸内細菌は子供の免疫系の発達に関与しているため、子供の免疫系が健全に発達するうえで、母親の腸内環境が健全であることが大切であるということになります。

今回の研究

研究グループが母乳に含まれる細菌を検査したところ、大腸の健康にとって重要なビフィズス菌(Bifidobacterium breve)や数種類のクロストリジウム菌が検出され、これらと同様の細菌群が母親と新生児の便からも検出されました。

クロストリジウム菌
クロストリジウム菌のうち腸内に住んでいるのは、ウェルシュ菌や C. difficile 菌、C. thermocellum 菌、C. butyricum 菌などで、腸内環境によって有害となるものもありますが、健康にとって有用なものもあります。 食中毒で有名なボツリヌス菌もクロストリジウム菌の仲間ですが、ボツリヌス菌は自然には土壌中に存在し、ヒトの腸内には存在していません。

母親の腸内細菌がどのようなルートで腸から母乳にたどり着くのかは不明ですが、母乳に含まれている細菌が母親の腸内に存在していた細菌であることは、培養、分離、シークエンシング、およびフィンガープリント法によって確認済みです。

解説

他の研究では、母乳に多数の細菌が含まれていることや、授乳中の母親の食事内容が母乳に含まれる腸内細菌の構成に影響を及ぼすこと、授乳中の母親の食事内容が子供の腸内細菌叢に影響すること、おまけに母乳が赤ちゃんの腸内細菌のエサまで備えていることが示されています。

これらの研究と今回の研究とを合わせると次のように考えられます:
母親の健全な腸内細菌 → 母乳に含まれる健全な腸内細菌 → 子供の腸に健全な腸内細菌が移住する → 子供の免疫系が健全に発達する