未熟児の壊死性腸炎には母乳に含まれる硝酸ナトリウムが有効

(2013年5月) 未熟児には人工乳を与えるのが普通ですが、ピッツバーグ大学の研究によると、未熟児の腸疾患である壊死性腸炎(NEC)の発症を抑える成分が母乳に含まれています。
壊死性腸炎(NEC)とは
NECとは腸の組織が死滅していくという致命的な病気です。 現在効果的な治療法はなく、手術によって腸の死滅した部分を取り除くしかないのですが、NECにかかった未熟児の半数は死んでしまいます。

今回の研究では、未熟児の血管上皮に TLR4 という免疫タンパク質が、満期で生まれた赤ちゃんよりも多量に存在することが明らかになりました。 さらに、マウス実験で、血管上皮に TLR4 を持たないマウスは NEC を発症させようとしても発症しないことが示されました。

このことから、血中に存在する細菌が TLR4 を活性化させるのが原因で一酸化窒素が減少し、これによって血管が収縮して血流が減少すると考えられます。 腸への血液供給がストップすると腸の組織が壊死(死滅)してしまいます。

研究グループは、人工乳を与えられた未熟児よりも母乳を与えられた未熟児の方がNECによる死亡率が低いことに注目し、母乳の成分を調べました。

その結果、母乳に硝酸ナトリウムが豊富に含まれることが明らかになりました。 硝酸ナトリウムは、腸内細菌の働きによって亜硝酸塩に変換されます。そして、この亜硝酸塩が一酸化窒素に変換されていたのです。 一酸化窒素には血管拡張作用があるので、この作用によって腸の上皮が保護され、血流が改善されます。

研究者の話では、亜硝酸塩による一酸化窒素の増加量は、TLR4 の活性化による一酸化窒素の減少量を上回ります。 硝酸ナトリウムおよび亜硝酸塩類似物を強化した人工乳を、マウスの未熟児に与えたところ、腸の血流の改善が見られ、NECが発症しませんでした。

この化合物(硝酸ナトリウムおよび亜硝酸塩類似物)は、すでに他の用途で米国食品医薬局(FDA)の承認を得ています。