乳房に住む細菌が乳ガンのリスクに影響?

(2016年6月) "Applied and Environmental Microbiology" 誌に掲載されたウェスタン大学(カナダ)などの研究によると、乳房に住む細菌が乳ガンのリスクに影響している可能性があります。 乳ガン患者と健常者とで、乳房に住む細菌の種類が違っていたのです。出典: The microbiota of breast tissue and its association with tumours〔PDFファイル〕)

研究の方法
乳房に腫瘍が生じている女性58人(*)と健康な女性23人(†)から乳房組織のサンプルを採取して、乳房に住む細菌の種類を調べました。

(*) 乳房に良性または悪性の腫瘍が生じているために乳腺腫瘍摘出または乳房切除を受ける患者。 良性が13人で、悪性腫瘍が45人。

(†) 乳房のサイズを大きくしたり小さくしたりする手術を受けた女性23人
結果
乳ガンの女性
乳ガンの女性の乳房組織からは、大腸菌とブドウ球菌が多く検出されました。 ヒトの細胞を用いた細胞実験において、これらの細菌がDNAに二重鎖切断(*)を引き起こすことが示されています。

(*)二重鎖切断はDNAが受ける損傷の中でも最も重度のもので、これらの細菌以外では遺伝毒性物質・ROS(活性酸素種)・電離放射線によって引き起こされます。

二重鎖切断による損傷を修復するメカニズムは誤作動が多く、そのような誤作動が生じるとガンが発生することがあります。
健康な女性
これに対して、健康な女性の乳房組織からはラクトバチルス菌と連鎖球菌が多く検出されました。 これらの菌はどちらも健康に寄与すると考えられており、腫瘍の形成を抑制する作用を有しています。
例えば連鎖球菌の一種であるサーモフィラス菌(高温性連鎖球菌)が作り出す抗酸化物質にはROSを中和する作用があります。 ROSはDNAを傷つけてガンを引き起こすことがあります。
実用性?
女性が服用したラクトバチルス菌が乳腺にまで届くことを示す研究があるほか、マウス実験ではラクトバチルス菌(Lactobacillus helveticus R389)の経口摂取によって乳ガンのリスクが下がることが示されています。