乳房に物理的な力を加えて乳ガン退治

(2012年12月) 乳ガンの悪性細胞(遺伝子変異の起こった細胞)があっても腫瘍になるとは限らず周囲の環境次第では通常の組織になるため、この「環境」を変えることでガン化を防げる可能性がありますが、カリフォルニア大学バークレー校の研究チームが、この「環境」を変えるための方法として従来の生化学的な手段の代わりに物理的な力を用いるという手法を試みました。 乳組織に物理的な力を加えることで、腫瘍の成長を阻止し逆転させようというのです。

実験では、ゼラチン状の物質で培養した悪性の乳上皮細胞をシリコン製の柔軟な容器に入れました。 このようにして乳房を再現したうえで、悪性の乳上皮細胞が細胞発達の最初のステージにあるときに物理的な圧力をかけました。

一定の時間圧力をかけ続けているうちに、圧力をかけられた悪性乳上皮細胞が、圧力をかけていない悪性乳上皮細胞と比べて、組織立った健康的な外見の線房へと変化していきました。

さらに、乳組織の構造が一旦形成されてしまうと、圧力をかけるのを止めても悪性乳上皮細胞の成長は止まったままでした。

研究者は次のように述べています:
「悪性の細胞も健全な細胞になる方法を完全に忘れてしまったわけではありません。適切な刺激さえ与えてやれば、健全な成長パターンに戻るのです」
次に、実験容器に「Eカドヘリン」という細胞同士の結合作用を持つタンパク質を阻害する薬を投入したところ、悪性乳上皮細胞は、圧力をかける前のガンっぽい外見に戻りました。 このことから、細胞同士の結びつきが大事であることが示されました。