母乳で育てる期間が長いほど子供の成人後の知能と月収が高い

(2015年3月) "The Lancet Global Health" 誌に掲載されたペロータス連邦大学(ブラジル)の研究で、母乳で育てる期間が長いほど子供が育ってからの知能と教育水準が高く、月収も多いという結果になりました。

研究の方法

この研究では、1982年にブラジルで生まれた人たち 3,493人を子供のときに母乳で育てられていた期間に応じて5つのグループに分割して、平均で30才のときに実施した知能検査の結果や、教育水準、大人になってからの月収と照らし合わせました。

結果

母乳で育てられたグループは母乳育児の期間に関わらず、成人後の知能・教育水準・月収が高い傾向にありましたが、生後12ヶ月までを限度として、母乳育児の期間が長いほどこの傾向が強くなっていました。

例えば母乳で育てられる期間が1ヶ月未満だったグループに比べて、1才まで母乳で育てられたグループは30才の時点でIQが4ポイント高く、学校に通っている期間が0.9年長く、月収が341レアル(2015年3月の時点で1レアルは40円ほど)多いという結果でした。

この結果は、出生時の世帯収入や、両親の教育水準、人種、妊娠中の喫煙、出産時の年齢、出生時体重、出産方法などIQに影響を与える可能性のある要因を考慮したうえでのものです。

今回の研究の特色
先進国を舞台に行われた過去の類似研究では、社会・経済的状態(収入、職業、教育水準など)が良好な女性ほど母乳育児をすることが多く、そのために研究結果が歪んでいる(*)可能性もありましたが、今回のデータでは、教育水準や世帯年収の各階層における母乳育児をする母親の割合は同程度でした。
(*) 子供が大人になってからの知能や社会地位に関係しているのが、母乳育児なのか、それとも母親の知能・両親の社会的地位・世帯収入(子供の知能に影響する)などの要因なのかが不分明。
考えられる理由
研究者によると、今回の研究で示唆された母乳の効果は、母乳に含まれる長鎖オメガ3脂肪酸(DHA)によって知能が向上するためかもしれません。 DHAは赤ちゃんの脳の発達には不可欠で、粉ミルクにも添加されています。