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飲酒によって骨折の治りが遅くなる仕組みが明らかに

(2013年10月) 骨折患者が大量に飲酒すると骨の治りが遅くなることは経験的に知られていましたが、バルチモアで開催される "American Society for Bone and Mineral Research Annual Meeting" でロヨラ大学医学部が発表する予定の研究により、そのメカニズムが細胞レベルで明らかにされました。

研究の方法

この研究ではマウス実験を行いました。 マウスの群れを2つのグループに分けて、一方のグループには(ヒトで言えば)飲酒運転のアルコール基準値の三倍に相当する量のアルコールを投与し、もう一方にはこれと同量の食塩水を投与しました。

結果
実験の結果、アルコールが、次の3つの点において骨折の治癒を妨げることが明らかになりました:
  1. アルコールを投与されたグループでは、仮骨(折れた骨の両端に成長してもとの骨を癒着させる骨質物)のミネラル化(骨の形成)が遅れていました。 さらに、形成された骨も、(食塩水を投与されたグループに比べて)丈夫ではありませんでした。
  2. アルコールを投与されたグループには酸化ストレスが見られました。 こちらのグループでは、酸化ストレスのマーカー(指標)であるマロンジアルデヒドが有意に増加していたのです。 酸化ストレスは細胞の各種の機能を損ないます。 アルコールを投与されたマウスでは、超酸化物不均化酵素(SOD)という酸化ストレスを減少させる作用を持つ酵素も増加していましたが、統計的に有意と言えるほどの増加ではありませんでした。
  3. 骨折の治癒プロセスにおいては、骨折箇所に未成熟な幹細胞(体のどの部分になるか がまだ決まっていない細胞)が送られ、そこで幹細胞が骨細胞へと成熟します。 骨折箇所への幹細胞を集めるのには、SDF-1 および OPN という2種類のタンパク質が関与していますが、アルコールを投与されたグループでは OPN の量が有意に減少していました。

研究グループは今後、飲酒による骨の治癒への悪影響を防げる可能性のある2種類の治療法の動物実験を行う予定です。 治療法の1つは幹細胞を注射するというもので、もう1つは酸化ストレスに効果のある NAc という抗酸化物質を投与するというものです。

これらの治療法は、飲酒を止められない骨折患者で効果があるならば、飲酒をしていない患者に対しても骨折の治癒を促進する効果があるかもしれません。