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体脂肪を燃やすダイエット効果のある脂肪、その名は「褐色脂肪」

褐色脂肪と白色脂肪

ヒトなどの哺乳類には白色脂肪と褐色脂肪という2種類の脂肪があります。 白色脂肪の役割は、エネルギーの貯蔵です。 カロリーが不足するときに備えて余分なカロリーを蓄えておくのです。

一方、褐色脂肪の役割は、脂肪と糖を燃焼させて熱を作り出すことです。 新生児や冬眠中の哺乳類は震えることで熱を作り出せないので、核心温度(体の中心部の体温)を維持するために褐色脂肪で熱を作り出しています。 したがって、褐色脂肪は新生児(背中や、首、肩の辺り)や冬眠中の哺乳類に多く見られます。 赤ちゃんの背中がとても温かいのは、そこに褐色細胞が大量に存在して臓器が冷えないようになっているためです。

白色脂肪50gには300kcal のエネルギーが蓄えられますが、褐色脂肪50gは最大で300kcal のエネルギーを消費します。
褐色脂肪は、"Brown fat Adipose Tissue" の頭文字から「BAT」とも呼ばれます。

褐色脂肪の実用性

これまで、ヒトの褐色脂肪は子供の頃に消滅してしまうと考えられていましたが、最近になって大人のヒトにも褐色脂肪が存在することが明らかになったため、褐色脂肪が形成されるメカニズムに関する研究が続けられてきました。

褐色脂肪を増やしたり、活性化させることで余分な脂肪を燃やすことが出来れば、運動をしなくても消費カロリーを増やせるため楽にダイエットできるようになるだけでなく、心臓疾患や2型糖尿病高血圧の予防・治療にも有効となる可能性があります

褐色脂肪の特徴

褐色脂肪の特徴はミトコンドリアの多さです。 褐色脂肪が大量にカロリーを消費して熱を作り出すことができるのは、褐色脂肪にミトコンドリアが大量に存在するためです。 褐色脂肪が茶色いのもミトコンドリアが多いからです。

褐色脂肪はミトコンドリア内に存在する UCP1(脱共役タンパク質1)の活性化によって、人体の他の部分の300倍の熱を作り出す(つまり、それだけ大量のカロリーを消費する)ことができます。

褐色脂肪は夜明けに活性化する

褐色脂肪は明け方に目が覚める頃に活性化することが報告されています。 褐色脂肪が明け方に活性化するのには進化論的な理由があるのではないかと考えられています。

褐色脂肪の多い人

2012年に発表された英国ノッティンガム大学の研究によると、思春期以前の子供では首の辺りに50gほどの褐色脂肪が存在していて、体温の変化(寒さにさらされるなど)や、運動・食事などの活動に応じて褐色脂肪のスイッチがオンになったりオフになったりしています(オンのときに熱を作り出す)。 昔から、子供は寒さに強いと言われていますが、その科学的な根拠は褐色脂肪にあるのかもしれませんね。

英国ノッティンガム大学の研究グループにより以下が明らかにされています:
  • 褐色脂肪は、年を取るほどに減っていく。
  • 子供でも大人でも、肥満していると褐色脂肪が上手く活性化しない。 褐色脂肪の働きが悪いために太っている可能性もある。
  • 褐色脂肪は太っていない人で顕著に見られる。
  • 女性は男性よりも脂肪が多いので、褐色脂肪も多い。 (カリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究者によると女性より男性のほうが褐色脂肪が多い。 全脂肪に占める褐色脂肪の比率が高いということでしょうか)
  • 皮膚が厚い人ほど褐色脂肪が少ない。

大人でも増やせる褐色脂肪 ~ブライト脂肪細胞~

ヒトでもマウスでも、低温に適応する際に白色脂肪の組織内に褐色脂肪が形成されることが知られています。 このように形成される褐色脂肪は、"brown-in-white" をもじって「ブライト(brite)脂肪細胞」と呼ばれます。 ブライト脂肪は、その色から「ベージュ脂肪」とも呼ばれます。

褐色脂肪は、大きな塊で存在するのではなく、豆ほどのサイズの塊として白色脂肪の間に散在しています。 ブライト細胞も褐色細胞と同様に、背中の上部・首の横・鎖骨と肩の間のくぼみ・脊椎周辺に存在します。

ブライト脂肪と白色脂肪の違いの1つは、カロリーの燃焼に関与している "UCP1" というタンパク質(脂肪細胞の中のミトコンドリアに存在する)の発現量です。 「発現」というのは、遺伝子の発現のことで、遺伝子の設計図に基づいて体内でタンパク質が作られることを言います。

寒いとブライト脂肪が作られる

2013年4月に、スイスの大学の研究グループがマウス実験で白色脂肪細胞をブライト脂肪細胞に変換することに成功しました。

この研究では、遺伝子改造によって白色脂肪と褐色脂肪の見分けがつくようにしたマウスを用いました。 これらの改造マウスたちを気温が変化する(1週間のあいだ8℃で、その後数週間は室温)環境で飼育したところ、寒い期間のあいだに白色脂肪中にブライト脂肪が形成されました(このプロセスを「ブライトニング」といいます)が、暖かい期間になるとブライト脂肪が白色脂肪に戻りました。

この結果に基づき研究グループは、白色脂肪⇔ブライト脂肪という変換が行われるのだと結論付けました。 ヒトとマウスでは細胞の種類が同じなので、ヒトでも同様に寒さが刺激となって白色脂肪→ブライト脂肪というプロセスが生じると考えられます。

寒さによるブライト脂肪の増加には免疫系や腸内細菌が関与している可能性があります。

ヒトでも低温による褐色細胞化に成功

  • "Journal of Clinical Investigation"(2013年7月)に掲載されたマーストリヒト大学の研究で、成人において褐色細胞の活性を増加させることに成功しています。 毎日、低温に体をさらすことで、褐色細胞と代謝率が増加し、この習慣を6週間継続することで、体脂肪の量が減少したのです。

    10日間にわたって1日あたり6時間を15~16℃で過ごすことで、褐色脂肪の活性化が見られました。 寒冷化による褐色脂肪活性化において、性別による違いは見られませんでした。 また、腹部の皮下脂肪が褐色化することはありませんでした。
  • 同じく "Journal of Clinical Investigation"(2013年7月)に掲載された北海道大学の研究でも、6週間にわたって17℃の気温に毎日2時間体をさらすことで、年齢に関わらず褐色細胞が活性化して、エネルギー消費が増加し体脂肪が減少するという結果になっています。
  • "ICE/ENDO 2014" で発表された研究(2014年6月)によると、エアコンにより室温をコントロールする部屋で10時間を過ごすだけでもブライト脂肪の増減に影響があります。 この研究では5人の男性に、24℃、19℃、24℃、27℃という順番で一ヶ月ずつ10時間/日を過ごしてもらったところ、季節に関わり無く室温を低く設定した月にはブライト脂肪が増加し、室温を高く設定した月には減少していたのです。

    最初の1ヶ月(室温を24℃に設定)におけるブライト脂肪の量を基準として、次の1ヶ月(19℃に設定)がブライト脂肪30~40%増加し、その次の1ヶ月(再び24℃に設定)では元に戻りました。 そして、27℃に設定した月には24℃に設定した月よりもブライト脂肪が減っていました。
  • "Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism"(2014年)に掲載されたケンタッキー大学の研究によると、肥満者(BMIが30以上)では低温による白色脂肪の褐色化が起こりにくいようです。

低温以外にも白色脂肪をブライト化する方法がいくつか知られています。 これらの方法については 「自宅で出来る褐色脂肪の活性化」 をご覧ください。