打ち身を冷やすと治るのが遅くなるかも

(2015年3月) 打撲傷(打ち身)は冷やすのが良いとされていますが、"Experimental Biology Meeting" で発表予定であるクイーンズランド大学(オーストラリア)の研究によると、そうではないかもしれません。 (出典: “Ice It.” Why the Ubiquitous Advice Isn’t Healing Your Injury

研究の方法
この研究では、24匹のネズミの太腿に打撲傷を負わせた後、ネズミたちを2つのグループに分けて、一方のグループ(12匹)は打撲傷を受けてから20分以内に5分間のアイシング(冷やすこと)を行い、もう一方のグループ(12匹)には何もしないという非人道的な実験を行いました。
ネズミに打撲傷を負わせるのには370gの重りが用いられました。 用いられたネズミは Wistar rats という種類のネズミなので、体重は300~400g程度だったと思われます。 ネズミたちは実験中~実験後に用済みになりしだい逐次、安楽死させられました。
結果
アイシングをされたグループは:
  1. 急性期(打撲傷を負わされてから3日後)において、何もされなかったグループよりも血管新生のマーカー(*)と炎症性細胞浸潤が少なかった。
    (*) 血管が新生されていることを示す血中の物質。 具体的には、血管内皮成長因子(VEGF)とフォン・ヴィレブランド因子(vWF)。
  2. 修復初期(打撲傷を負わされてから7日後)において、何もされなかったグループよりも炎症性細胞の数が多い一方で VEGF と vWF の発現量は依然として少なかった。
  3. 修復後期(打撲傷を負わされてから28日後)において、何もされなかったグループよりも 炎症性細胞の数、VEGF の発現量、および再生中の筋肉繊維の数がいずれも多かった(その結果、炎症と腫れが減っていた)。
組織の再生にとって炎症は必要なプロセスですが、今回の実験ではアイシングによって打撲傷からの回復期における炎症、血管新生、および新しい筋肉繊維の形成が遅れる可能性が示されました。
アイシングによって筋肉組織の再生に必要な炎症の発生が遅れるために、筋肉組織の再生も遅くなるということでしょう。 28日目の時点での「アイシングされたグループの方が再生中の筋肉繊維が多かった」というのは、アイシングされなかったグループでは既に筋肉繊維の再生が大方終わっていたということでしょうか。
研究チームは次のように述べています:
「今回の結果からすると、打撲傷に対してアイシングを行うという従来の慣行は間違っている可能性がある。 アイシングだけでなく非ステロイド性抗炎症薬(アスピリンなど)も、打撲傷への使用を考え直した方が良いかもしれない」