イジメられた子供は DNA に変化が

(2012年12月) 英国で行われた研究によると、イジメは、イジメられた子供の DNA に傷跡を残す可能性があります。 イジメによって、気分の調節に関与する遺伝子の発現に変化が生じる確率が増加するというのです。
遺伝子をソフトウェアだとすれば、DNA はそのソフトウェアが書き込まれた媒体(CDやハードディスク)に当たります。
研究の方法

この研究では、1994~1995年に生まれた一卵性双生児28組を調査しました。 これら28組はいずれも、双子の一方がイジメの被害者でした。 もう一方はイジメられた経験がありません。

調査の内容は、子供たちのセロトニン・トランスポーター(SERT)という遺伝子の DNA メチル化の分析などでした。
セロトニン・トランスポーターとは、気分の調節や鬱症状に関わる神経伝達物質であるセロトニンの輸送を担う遺伝子です。 DNA メチル化とは、遺伝子が社会的および肉体的な刺激に応じて発現するかどうかに影響する化学的プロセスのことです。
結果

調査の結果、10歳の時点で、双子のうちイジメにあった方では、そうでない方と比べて、SERT の DNA メチル化が高頻度で生じていました。 さらに、この SERT でのメチル化が多いと、ストレスに対するコルチゾール応答が鈍くなっていました(ストレスに対してコルチゾールが分泌されにくくなる?)。

DNA の変化の影響

研究グループによれば、これらの変化によりイジメ被害にあった子供たちはのちに精神疾患になりやすくなります。

コメント
研究者は次のように述べています:

「この研究では、比較対象として(イジメ以外は)同じ環境に住む一卵性双生児を用いたため、遺伝子を取り巻く化学的構造における変化は、遺伝や家庭環境では説明がつきません。 今回の研究結果からすれば、イジメられた体験がこれらの変化の原因です」

「遺伝子が変わることはないと考えている人は多いですが、今回の研究により社会的な環境を含む環境が遺伝子の機能に影響し得ることが示唆されました」